転職成功者インタビュー | リージョナルHERO
前職ではイベントの企画運営・プロモーションなどを手掛けていた板東宏文さん(仮名)さん。ヤリガイは大きい一方、仕事は非常に忙しく、休日出勤も常態化していた。「もう少しメリハリのある生活をしたい」という想いから転職活動をはじめ、出会ったのは大手グループ企業の総務職。畑違いと思われたものの、そこで求められたのは前職の広報経験だった。「新たな経験が積める」、「メリハリのある生活」、「給与」といった希望も叶えられたといい、「職種名だけで決めつけていては、今回のような出会いはありませんでした」と振り返る板東さんの転職活動を紹介する。
- プロフィール株式会社三井E&Sマシナリー 板東宏文さん(仮名) 27歳/大学卒業
- 転職活動【転職回数】0回【転職期間】エントリーから内定まで46日間
職業 | 営業企画 | 職業 | 総務 |
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業界 | 各種広告物の製作、イベント企画・運営会社 | 業界 | 製造業 |
仕事内容 | ショッピングモールのプロモーション担当。民間企業への広告営業と自治体案件のプロポーザル獲得提案。 | 仕事内容 | 総務全般および広報・PR、イベントの企画運営など |
三井E&Sマシナリーの玉野機械工場の総務として入社しました。その名の通り総務全般を担う部署なのですが、幅広い人に会社を知ってもらうための広報・PR、イベントの企画運営などもウェイトが非常に高い仕事です。現職の三井E&Sマシナリーは、2018年4月に旧三井造船が持株会社化したことに伴って、旧三井造船の中の事業部とアフターサービス部門の子会社を統合して独立した事業会社であり、三井E&Sグループの中核に位置付けられる会社です。 旧三井造船は100年ほど前に三井物産の造船部として玉野で創業をし、「三井造船」という社名で70年以上事業を行ってきました。それが創業100周年を迎える節目の年に組織再編に踏み切り、社名から「造船」を取る決断をしました。「三井造船」と聞けば、どこで何をしている会社であるか、ある程度の認知もあったものと思いますが、「三井E&Sマシナリー」と聞いてもまだまだピンとこない方がほとんどだと思います。それと、2018年3月までは三井造船の機械システム部門としてやっていましたが、同部門および三井E&Sマシナリーは船自体を作っているわけではありません。当社は5つの事業部門で事業を展開していますが、私が在籍する玉野機械工場では各種ディーゼルエンジンや高圧のポンプやコンプレッサーなどを開発・製造しています。ディーゼルエンジンにおいては、累計製造台数は6,500台を超え、世界のディーゼル・エンジン・トップメーカーです。社名から「造船」が外れたことによる知名度の低下、また、そもそも会社の実績や実態が知られていないのでは、という問題意識を持っており、広報・PRをより強化していこうと総務として取り組んでいくところです。
大学を卒業後、新卒で各種広報物の制作やイベントの企画運営を行う企業に就職しました。入社後3年間はショッピングモールのプロモーション担当としてオープニングセレモニーの準備やオープン後のイベント企画の立案と実施に携わりました。その後もモールに常駐し、日々のプロモーション準備やイベントの企画立案に取り組み、モールの集客や認知度向上のための施策を行いました。その後、部署異動となり民間企業への広告営業と自治体案件のプロポーザル獲得のための企画書作成や獲得案件の推進を2年間行っていました。
きっかけ、ということではないのですが、転職を考えるようになった一番の理由は、自分の時間がなかった、というのが正直なところです(笑)。自治体から請け負ったプロモーション業務では、東京での展示販売イベントや海外でのテストマーケティングなど、非常にヤリガイも大きかったのですが、一方でイベントは主に週末の開催となりますし、休日であっても様々な調整事や打ち合わせなどもあり、ゆっくり休めませんでした。もう少し、メリハリのある生活をしたいという想いが徐々に強くなり、働き方を見直したいと考えるようになりました。
自治体から仕事を請け負っていたこともあり、途中で投げ出すわけにはいきませんでしたので、退職する時期は決めていました。それまでに転職先を決められればよかったのですが、仕事と転職活動の両立が難しく、また、しっかり考えて動きたいという思いもあったことから、前職を退職してから本格的に転職活動を行いました。とは言え、大手の転職サイトには登録をして在職中から情報収集は行っていました。地元岡山での勤務を希望していたのですが、地元企業の情報は少なく、紹介されるものも「働き方を見直したい」という転職の目的を果たせないような求人が多かったこともあり、岡山に強そうな紹介会社を探してリージョナルキャリア岡山にたどり着きました。
前職での経験がほぼそのまま活かせることと、さらに総務として新たな経験を積むことができる点です。転職先を決めるにあたっては人それぞれに重視するポイントがいくつかあると思いますが、全てを満たすことは簡単ではないと思います。私の場合は、「前職の経験が活かせる」「スキルアップ、新たな経験が積める」「メリハリのある生活(休日)」「給与」などですが、これらを全て満たすことはできないと思っていたので、優先順位やバランスを考えて転職先を決めようと思っていましたが、本当に運よく、全てを満たせる企業に転職できました。こんなに大きい規模の会社に採用してもらえるとも思っていませんでしたし、転職しない理由がない、というのが正直なところです(笑)。強いて言えば、実家から職場までの距離が離れていましたが、今回の転職を機に一人暮らしをはじめましたのでそれも解決しました。
まだ本当にこれからなのですが、広報・PRの面では、短期的な面と中長期的な面でしっかりと戦略を立てて計画的に取り組んでいきたいです。例えば、目の前の取り組みで言えば、いまはグループのホームページの中で限定的な情報開示となっていますが、自社ホームページの開設であったり、採用向けの会社案内の作成などがあります。また中長期的なところで言えば、例えば、県内外の小学生たちに、工場見学なども積極的に行っていきたいと思っています。玉野に世界を舞台に事業展開をする会社があることを多くの人に知ってもらいたいですし、ファンになってもらえれば、いつか当社で働きたいと思ってくれるかもしれません。会社規模や業種からすると「堅い会社」と思われるかもしれませんが、2018年に誕生した新しい会社ですし、中途入社の方も多く、古い考えに縛られる方も少なく、何でも忌憚なく意見を言える環境ですので、積極的に意見を出して新しい取り組みをしていきたいです。
転職を機に、一人暮らしを始めたのでプライベートは変化しましたね。休日もしっかり休めるのでメリハリのある生活ができています。私は学生時代から弓道を続けており、今も道場に通っているのですが、前職の時はイベントの関係などで大会に出場できないことがたびたびありました。現職ではそのようなこともなく、弓道に打ち込むことができています。入社と同時に有給休暇が比例付与されますし、有給休暇も取りやすい環境です。
前職では、基本的には関わる人、コミュニケーションを取る人たちは社外がメインでした。色々な広い交友関係の中で、かつ入れ替わりがある中で、結果的に広く浅くなってしまうのですが、フットワーク良くさばいていくような面がありました。またある程度一人で進められる、完結する面もありました。現職では、前職と比べると社内の人たちとの関わりが圧倒的に多いですし、社内の人たちとしっかりとコミュニケーションがとれなければ仕事が前に進みません。組織が大きいですから、色々な部署がありますし、人もたくさんいます。どの部署がどのようなことをしていて、そこでどんな人が仕事をしているのか、総務担当として会社全体のことをわかっておかないとスムーズにいかないことがあると思います。そのためどんなことでも貪欲に情報を取りにいかないといけないなと思っています。大変というよりも、早くそれに慣れないといけないなと思っています。
転職をして強く感じているのは、立場の違いによるヤリガイの違いですね。前職は仕事を頂く、受ける側の立場でした。基本的には課題がはっきりしており、その課題を解決するための手段を考える仕事でした。しかし、現職では、課題が何なのか、どのようなことを解決していけば会社がより良くなるのか、そこから考えていく必要があります。「考える」ということで言えば同じですが、視点が違います。また、前職はやはり自分自身が発注側の人間ではないため、お客様に良くなってほしいと思って取り組んでいましたが、実際には得られる情報やできることも限定的な面がありました。現職では自分自身が中の人間ですので、自分の取り組み方によって何でもできるんです。それは前職よりもよりクリエイティブですし、それだけに難しさもあるのですが、非常にヤリガイも大きいと感じています。
あまり職種名にとらわれない方が良いように思います。私が在籍している「総務」でも会社によって職務内容は異なると思います。実際に現職の総務では広報・PRを含んでいますが、おそらくそうでない企業の方が多いのではないでしょうか。とくに「営業」などは一括りにできないと思います。職種名にとらわれて、「営業はできない」ではなく、その営業職の職務内容がどのようなもので、どのような適性や能力があればフィットするのかをしっかり見てみると、意外と自分でもできそうと思えるものがあるのではないかと思います。同じ職種でも会社によって職務内容は大きく異なりますので、職務内容をしっかりと理解することが重要だと思います。
株式会社ライフサイズ 瀬川 泰明
「27歳とは思えないほど落ち着いていて、自分の考えをしっかりと持っておられる方だなぁ」というのが板東さんの第一印象でした。弓道には「真・善・美」という指標があり、「善」は平常心に宿る、ということなのですが、本当に揺らぎや動揺する心がないような印象で、おそらく弓道によって強い心を養ってこられたのだろうということを感じました。入社後にお会いした板東さんは変わることなく、平常心で仕事にあたっておられるようで、それは控え目ということではなく、会社にも積極的に提案をされて広報・PRの仕事についてもこれから少しずつカタチになっていくということでした。板東さんの今後のご活躍が本当に楽しみです。