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熊本から世界へ。公衆衛生を支える製薬メーカーの成長戦略。

KMバイオロジクス株式会社
代表取締役社長 高橋 洋匡

熊本 更新日:2025年12月03日

埼玉県出身。東北大学大学院修了後、1993年明治製菓株式会社(現:Meiji Seikaファルマ株式会社)に入社。明治グループの製薬部門で生産技術畑を歩み、Meiji Seikaファルマ北上工場長、海外生産部長、生産技術部長などを歴任。明治グループの執行役員を経て、2025年6月 KMバイオロジクス株式会社 代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

熊本から世界を支える医薬品インフラ企業。

私たちKMバイオロジクス株式会社は、「ヒト用ワクチン」「動物用ワクチン」「血漿分画製剤」「新生児マススクリーニング」の四つの事業を行う国内唯一の製薬メーカーで、2018年7月に明治グループの一員として発足しました。

インフルエンザワクチンの供給は国内トップシェア、シングルサプライ製品(他社で製造していない代替品のない製品。同社のマムシ・ハブ毒の抗毒素血清やA型肝炎ワクチンなど)やオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)も数多く抱えており、日本の医療を下支えする存在でもあります。

KMバイオロジクスが有する高い技術力と、感染症治療薬のトップメーカーであるMeiji Seikaファルマ株式会社が連携することで生まれるシナジー効果により、「予防・治療のプロフェッショナル」として独自の価値を創出し、世界中の人々の健康で豊かな未来に貢献したいと考えています。

事業戦略のキーワードは「安定供給の強化」と「グローバル化の加速」。

国内市場では、政府支援のもと新型インフルエンザ発生時に5,700万人分のワクチン供給を可能とする体制を構築しています。

また、2025年11月には熊本県菊池市で「デュアルユース対応の生産設備」の建設を開始します。

この設備は平常時に通常の医薬品を製造し、有事にはワクチンなどの緊急医薬品を迅速に供給できる体制を備えており、国の医薬品インフラ整備にも貢献していきます。

一方、グローバル化はMeiji Seikaファルマと連携しながらアジアを中心とした海外市場への展開を推進中です。今後は開発の初期段階から世界市場への展開を前提とした製品づくりに取り組んでいます。

特に力を入れているのは、デング熱やエムポックスといった世界的には重要な感染症ワクチンへの取り組み。これら感染症への対応はWHOとの連携が欠かせず、国際的な規制や流通も含めて、今までとはまったく異なるスケールでの戦略が必要になります。

私たちだけでは対応しきれない領域もあるので、Meiji Seikaファルマや外部パートナーとの連携が欠かせません。

世界を見据え、情報収集や外部連携を模索。

グローバル市場への本格進出を見据え、社内では人材育成と意識改革を同時並行で進めています。

医薬品業界は規制の厳しさゆえ、各国対応への準備を怠れば後れを取ることになります。KMバイオロジクスはまさに「助走期間」にあり、社員が一丸となって製造体制の強化、マニュアル整備、設備投資に取り組んでいます。

加えて、海外の最先端情報を取り入れるべく、ボストンを拠点にMeiji Seikaファルマのネットワークの活用や、外部機関やベンチャー企業との連携を強化しています。

フランスのOsivax社との提携のように、シード技術をいち早くキャッチして製品開発に活かしていくスピード感も重視しています。

「どこに新しいシードがあるのかを探す力」「いち早く行動に移す力」この二つを磨き続けることで、KMバイオロジクスは熊本発のグローバル企業として、真に社会に必要とされる存在になれると考えています。

自ら仕事をおもしろくする、おもしろい仕事を創る。

KMバイオロジクスの魅力は、「社員が互いを尊重し合いながら主体的にチャレンジできる職場文化」にあります。

弊社が求める人物像である「Action・Challenge・Respect」という三つの価値観は、単なるスローガンではなく、社員一人ひとりの意思決定に根付いた行動基準でもあります。

特に、研究から生産、営業まで多岐にわたる職種がチームで連携し合うため、お互いの専門性を尊重し合いながら新たな価値を生み出す風土が根付いています。

私自身、仕事を選ぶ時には「こっちの方が大変だけどおもしろそう」と感じる方を選んできました。明治グループの「仕事をおもしろくする、おもしろい仕事を創る。」という言葉が、まさに自分の行動指針でもあります。

そんな価値観に共鳴してくれる方と一緒に、KMバイオロジクスの未来を創っていきたいと考えています。

人材育成と挑戦を支援する環境で、個の力を最大限に引き出す仕組み。

挑戦を歓迎する文化は、人材育成制度にも色濃く表れています。たとえば、「清正プロジェクト」という名称を付け、30〜40代の中堅社員を中心に、マネジメント力の養成や女性の活躍推進を目的とした育成施策を展開中です。

意欲ある社員には実践の場が与えられ、海外展開を担うプロジェクトのリーダーに抜擢されるケースも想定します。

また、挑戦の失敗を許容する文化も根付いており、「想いを持って挑んだ失敗は責めない」というスタンスが組織全体に浸透しています。社員から自然に「こんなことやってみたい」という声が上がる環境を整備することが、私の大切な役割です。

今後はキャリア採用にも力を入れ、高度人材の登用を積極的に取り入れていく必要があると感じています。

新たな人事制度として「等級型制度」の導入も予定しており、実績とチャレンジを正当に評価する体制を築いていきます。誰もが挑戦し、活躍できる――そんな企業を目指しています。

社名に込められたグローバル志向と社会貢献への強い覚悟。

KMバイオロジクスの社名には、「熊本(Kumamoto)」と「明治グループ(Meiji)」の頭文字が込められており、「熊本から世界へ」という強い意志が込められています。

熊本は歴史的にもワクチン研究の先進地域であり、熊本大学との連携を通じて優秀な人材と技術が集まる土壌があります。だからこそ、我々は「グローバルに通用する会社」であることに誇りを持ち、挑戦を続けています。

世界では、依然として多くの感染症に対する薬やワクチンが不足しています。そうした未解決の社会課題に、私たちの技術と情熱で応えていく。それがKMバイオロジクスの使命だと考えています。

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