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フラットな組織とネットワークで生まれる岡山発の価値創造。

株式会社岡山村田製作所
代表取締役社長 佐々木 俊和

岡山 更新日:2022年3月16日

1983年 株式会社 福井村田製作所入社
1987年 Murata Electronics Europe B.V. Germany Branch 生産管理課長就任
2016年 Murata Electronics Singapore(Pte.)Ltd. 社長就任
2021年 株式会社 岡山村田製作所 代表取締役社長就任
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

エネルギッシュでバイタリティーのある事業所。

ムラタグループの本社である村田製作所は1944年に京都で創業した総合電子部品メーカーです。創業以来、時代をリードするファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスを世界中のメーカーに提供しており、2021年度通期売上は1兆7,700億円となる見通しで、2兆円の達成が目前に迫る企業グループになっています。

当社、岡山村田製作所は1992年に創業し、2022年が30周年となる節目の年です。ムラタグループの中では比較的若い事業所でして、私が岡山へ来る前に代表を務めていたMurata Electronics Singaporeの創業は1972年(50周年)です。

他の関係会社も創業から50年近くの歴史がある会社が多く、そのことからも事業所の若さを感じていただけるかと思います。

私は昨年の5月に岡山村田製作所の代表となりましたが、岡山村田製作所に来てまず感じたのは、他の事業所と比べると若い社員が多く、エネルギッシュでバイタリティーのある事業所だな、ということです。

私はシンガポールの他にドイツでの勤務経験があります。海外の人はオープンマインドで年齢やポジションなど関係なく、フラットに他者の意見もリスペクトして喧々諤々と議論をする、というのが当たり前でしたが、岡山村田製作所もそれに近いところがあると思います。

2,000人規模の会社で中途入社者が50%以上、平均年齢は36歳という会社はおそらく少ないですよね。若い人が多く、上司も“管理”者ではなく、「自分で考え自分で行動すること」をサポートする立場として関わることで自由闊達な風土が醸成されてきているのだと思います。

ちなみに当社では役職(肩書)呼びではなく「さん付け」で呼びあっており、新入社員でも私は「佐々木さん」です。さすがに「俊さん」と呼んでくれる人はいないですが、私はウェルカムですよ (笑) 。

VUCA時代におけるリスクへの備え。

将来の技術トレンドを見極めて、そこへ早い段階から経営資源を投下することが村田製作所の成長の源泉です。その意味では、マクロ経済や政治的なことは見極めが困難ですが、それを差し引いたところで数年先のトレンドに対する備え、技術や商品の仕込みは終わっています。見極め通りに市場が形成され、商品を計画通りにリリースできれば需要は伸びていくだろうと認識しています。

とは言え、「VUCA(先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態)の時代」と言われるように、環境変化が起こる中で一定のリスクについて仮説を立てながら、それに対してどう備えていくのかという考えを大事にしています。

昔であれば、計画を立てて愚直にPDCAサイクルを回すのがモノづくりの典型的な進め方でしたし、それで成長できた時代がありました。しかし、変動性や不確実性が大きく一本調子ではいかない時代においてそれは通用しません。見極めとズレが出たときに、それにどうアジャストしていくのか、その体制づくりに全社を挙げて取り組んでいます。

喜んでいただける価値を創造し続けるために。

おそらく当社だけではなく他の会社でも共通することかと思いますが、個人レベルでも環境変化に対応できる柔軟性が求められます。ちょっとした変化を感じ取れる感覚を養うには内向き志向ではなく、ポジティブに考えてフットワーク軽く動き、外部からの情報をインプットし続けられるかが重要です。

好奇心がなければそれは難しいですし、行動する一番のモチベーションはやっぱり好奇心だと思いますね。興味がないことをやってくれ、と言っても人は動かないですし、嫌々やっても成果は出しにくい。好奇心はモチベーションの動機付けとなる大きなエネルギーです。それがなければ自律性も出てきません。

個々人の資質によって異なりますが、先ほども申し上げたとおり、メンバーの声を聞きながら本人のキャリアパスを一緒に考え支援していくための仕組みや意識が大事だと思います。

ムラタグループは一人の優秀な社員がイノベーティブなことを成し遂げているわけではなく、様々な人たちが繋がって成果を出しています。私たちは「バリューネットワーク」と呼んでいますが、そのような自立性のある個々が激しい市場変化に即応するべく有機的に協働し、お客様に喜んでいただける価値を創造し続けていきたいと思っています。

岡山村田製作所をどうしたいのかを考えるのは、本社ではなく我々。

岡山村田製作所はムラタグループにおける一関係会社なので、本社の意向が強くて自由度が低いと思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、ムラタグループでは本社だからとか関係会社だからといった差はないですし、グループとしてフラットにネットワークとして繋がっているので、岡山に軸を置きながら自分のやりたいことを成し遂げていける環境です。

活発に意見交換ができる風土があり、ベテランも新人もそれぞれの目線からいろんな提案をしてくれます。

最近ですと、テレワークの増加に伴うコミュニケーション不足によって新しいアイディアが生まれにくいことに問題意識を持ったメンバーの提案で、メタバースの活用を試験的に行っています。

また、日本では労働人口が減り、人手不足の問題が顕在化しています。正直なところ弊社も年々採用が厳しくなってきています。そうした状況の中で、これは弊社だけでなくグループ全体で言えることですが、業務効率化や人手のかからないスマートファクトリーを実現するためのIT・DX人材の採用が不可欠です。

そこで、シンボリックと思っているのは温暖で自然災害が少なく生活しやすい岡山の魅力です。デジタルはリモートとの親和性が高いですよね。

例えばですが、岡山にいるから岡山村田製作所だけの仕事ということではなく、岡山にいながらムラタグループ全体のグローバルな仕事ができるサテライトオフィスを作るというのも面白いと思っています。それは本社が考えることではなく、岡山をどうしたいかのか、我々自身が考えてカタチにしていけることなのです。

変わるものと変わらないもの。

最近ではパーパス(purpose)と言ったりもしますが、村田製作所グループは「社是」を大切にする会社です。新入社員の時にだけ、社是に関しての刷り込みをするという会社も少なくないと思いますが、わたしたちは常日頃、職場や組織の中で社是について考えを巡らせています。

社是は物事の判断に迷った時に立ち返る原点であり、わたしたちが何のために存在するのかを認識させてくれるとても大切なものです。社是というといかにも日本っぽいですが、不思議なもので海外の人たちも出身国や年齢などに関係なく社是の価値や意味に共感をしてくれています。

中途入社される方に期待するのは、岡山村田製作所の常識は世間の非常識だと投げかけ、気付きを与えてくれることです。私も、“若者・バカ者・よそ者”が新しい価値を生み出すと思っていますし、多種多様ないろんな方に来ていただきたいです。

ただ1点、絶対に譲れないことは、ムラタグループの社是への共感です。環境変化に合わせて私たちは変わっていきますが、私たちの社是が変わることはありません。
 
【ムラタの社是】
技術を練磨し
科学的管理を実践し
独自の製品を供給して
文化の発展に貢献し
信用の蓄積につとめ
会社の発展と
協力者の共栄をはかり
これをよろこび
感謝する人びとと
ともに運営する

編集後記

チーフコンサルタント
瀬川 泰明

岡山村田製作所の製品である極微細な電子部品。それを生み出すための超高精度な製造技術・工程。そのイメージから、ついつい計画統制・中央集権型の組織を連想してしまいますが、佐々木社長のお話を受け、同社およびムラタグループは一人ひとりの好奇心や自律性を大切にする自律分散型の組織であり、そのための組織運営を実践されている、という点がとても印象的でした。

今回のインタビューには若手社員の方にもご同席いただきましたが、佐々木社長との距離の近さを感じましたし、実際に社員の提案が具体的に検討されているとのことでした。

「岡山村田製作所をどうしたいかのか、我々自身が考えてカタチにしていける」という佐々木社長のお言葉はとても力強く、今後の同社の成長と変化がとても楽しみです。

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