採用が経営を変えた瞬間 取締役事業所長 唐木 信太郎氏

岡山から世界へ。
情報通信社会を支え続ける。

株式会社岡山村田製作所 / 取締役事業所長 唐木 信太郎

Vol.61

株式会社岡山村田製作所
取締役事業所長 唐木 信太郎

岡山

名古屋工業大学 工学部 卒業
1982年 株式会社村田製作所 入社
2012年 株式会社岡山村田製作所 第3製造部部長
2015年 株式会社岡山村田製作所 取締役事業所長

グローバルに展開する総合電子部品メーカー

グループの本社である村田製作所は1944年に京都で創業した総合電子部品メーカーです。創業以来、時代をリードするセラミック電子部品を世界中のメーカーに提供し、現在では売上1兆円を超える企業グループとなっています。当社、岡山村田製作所は村田製作所グループの中で、1992年創業の若い事業所です。作っているものが電子部品ですから一般の方が当社の製品を目にすることはほとんどありませんし、建屋は大きいですが窓も少なく、当然中も見せませんから、地元の方でも「何の会社なんだ?」と思われてる方がいまだにいらっしゃると思います(笑)。岡山村田製作所ではあらゆるエレクトロニクス機器に欠かせない電子セラミック部品の原材料となるチタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛を始めとしたセラミック原料の製造から、電気と磁気を互いに作用させることでさまざまな働きをする通信機器に欠かせない部品であるインダクタ、セラミック多層基板の上にスイッチICやコンデンサ、フィルタなどの部品を搭載した多層デバイス、機器の中を3次元に自由に配線できる樹脂多層基板のメトロサークを生産しています。

機能を発揮する電子セラミックスに惹かれ村田製作所へ入社

私は1982年に新卒で村田製作所に入社しました。少し変わっていると言われるのですが、私は幼少期から焼き物・陶芸が大好きでして、高校卒業後に備前焼の蔵元に弟子入りしたいと本気で思ってたんですね。その思いを担任の先生に伝えたところ、「これからの時代は陶芸家と言っても専門知識がなければ通用しない。大学に入って専門知識を学んでからでも遅くはない」と言われまして、なるほどそういうものかと思いまして、名古屋工業大学の無機材料工学科に進学をしてセラミックスについて学ぶことにしたんです。その中で電子セラミックスへの興味が膨らみ、村田製作所への入社に繋がりました。ちなみに陶芸家になる夢は、学業と遊びに没頭する中ですっかり忘れてしまいました(笑)。私が村田製作所に入社した時の売り上げ規模は確か今の10分の1以下だったと思いますが、入社して間もなくして、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の販売が急激に伸び始めました。軽量化・薄型化・小型化していく電気製品を支えるのは小型の電子部品です。それをいち早く製品化していたムラタが一気に伸びていったのです。私は入社から今に至るまで、ずっとムラタグループの成長を見てくることができました。それはとても運が良かったと思います。

組織の風土はトップがつくる

私自身も開発職として入社でしたから元々はMLCCや低温同時焼成セラミックス(LTCC)の開発に従事していました。ただ、工場で様々な人たちと協力しながら製品を作り出していく仕事が自分の性分に合っていると感じまして、当時の上司に「工場長になりたい」と伝え、それから製造現場をメインにやってきました。2000年に製造課長として岡山に赴任し、野洲事業所を経て2007年に製造部長として岡山に戻ってきました。そして2015年8月に岡山村田製作所の事業所長になりました。それまでに組織の風土はトップがつくると常々感じていましたので、部課長やメンバーとの関わり方で岡山村田製作所の風土が決まると確信していました。風通しの良い組織、一人一人が活発に前向きに仕事に取り組んでいる組織、どうすればそのような組織にできるのか考えた結果、まず真っ先に取り組んだのは社員の名前を覚えるということでした。そしてちょっとしたことでも名前を呼んでコミュニーションをとる。それを日々続けているとだんだん社内の雰囲気が変わってくるんですね。そんなことかと思われるかもしれませんが、これは本当に効果があったと思います。

中途人材の良さは異なる価値観や経験

当社も今では積極的に中途採用を行っていますが、それもここ2、3年ぐらい前からのことです。それまでは新卒採用がメインでしたが、新卒だけでは事業の成長に間に合わない、顧客のニーズに対応できない状況になっているため、本腰を入れて中途採用に取り組むようになりました。この2、3年で色んな方に入社して頂きましたが、中途採用は組織にとってとてもいい刺激になっていると思います。我々のような企業は私もそうですが新卒で入社して数十年、もしくは定年まで勤めあげるという人が多いんです。つまり人材の流動性が高くないんですね。それはもちろん悪いことではないのですが、一方でムラタしか知らないわけですから、価値観やものの考え方が凝り固まるというか、同質になっていきがちなんですね。そこに違う価値観を持った人や違う経験を積んだ人が入ってくることで、自社の良いところそうでないところというのが見えてくるんです。そして、それがフィードバックされてより良いかたちに変えていこうとなるわけです。ですから中途で入ってこられる人には、ムラタグループの考え方や仕事の進め方に慣れてもらいながらも、違和感があれば積極的に発言して一石を投じてもらいたいと思っています。

技術職だけでなく様々な職種があります

ムラタグループの重点市場は移動体通信、自動車、医療、エネルギーの4つです。スマートフォンなどのモバイル市場。更なる高性能化、そして軽薄短小化に対応していきます。自動車は急速に電子化が進み、自動運転などにはセンサと通信の技術が不可欠です。医療についてもIoTの領域でとらえセンサーや通信部品との技術融合を進めていきます。エネルギーについてはソニーから電池事業を買収しました。岡山村田製作所としても生産能力増大と将来に向けて更なる需要拡大へ対応できる体制を構築するため、新生産棟を建設中です。現在当社の従業員数は1900名程ですが、すぐに2000名を超える体制になると思います。ものづくりの会社ですが、これだけの規模ですので工場内での製造の仕事だけでなく、人事や経理、情報システム、開発、生産技術、資材購買など一通りの役割があります。今後も引き続き積極的に中途採用を行っていく予定ですので、ぜひ当社の門をたたいて頂きたいと思います。

編集後記

岡山村田製作所は世界最先端のモノづくりをしています。ですから、生産棟内には世界最先端の装置や機器が所狭しと並んでいます。そのように聞くと無機質でシステマチックなイメージを持たれる方もいると思いますが、そういった装置や機器が勝手に製品を生み出すわけではありません。それらを扱い、製品化するのは人です。トラブルが発生すれば、それを解決するのも人です。生産性を高めるための仕組みを考えるのも人です。そのため、そこで働くひとりひとりが活発に議論を交わし前向きに仕事に取り組んでいく必要があります。“組織の風土はトップがつくる”唐木所長のこの言葉には人づくり、そして組織風土づくりと向き合ってこられたトップとしての覚悟と自負を強烈に感じました。写真撮影で生産棟内をご一緒させて頂きましたが、唐木所長と立ち話をする社員の方々の笑顔がとても印象的でした。

文:リージョナルスタイル認定チーフコンサルタント 瀬川 泰明

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