転職成功者インタビュー

株式会社伊勢福
大西英之さん(店長兼料理長) 47歳

飲食業でも働き方は変えられる。47歳で出会った、理想的な環境。

大西英之さんは東京や名古屋の飲食店に勤務しただけでなく、自らも居酒屋を開業した経験を持つ。30代後半からは奥さまの実家がある三重県へ移住し、県内にある居酒屋で店長として活躍していた。

仕事も人間関係も順調で、給料も申し分なかったが、年齢を重ねるにつれて、深夜勤務、長時間労働が当たり前になっている生活への不安が大きくなっていったという。「この働き方を50代、60代になっても続けられるのだろうか?」そんな疑問を抱き、転職活動を決意。

その結果「夢のような場所に巡り会えた」 と喜ぶ大西さんの転職体験談を伺った。

※本記事の内容は、2020年1月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
4回
活動期間
エントリーから内定まで169日間

転職前

業種
飲食
職種
店長
業務内容
店長として、スタッフ管理や調理指導、メニュー開発および新店舗の立ち上げ等

転職後

業種
おかげ横丁の運営管理(飲食店・食品物販店・工芸品販売店等の経営)
職種
店長兼料理長
業務内容
店長兼料理長として、スタッフの管理や育成、調理指導、メニュー開発、接客など

連日深夜まで働く生活を変えるため、転職を決意。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

私が転職した「株式会社伊勢福」は、伊勢名物で知られる「赤福」のグループ会社で、伊勢神宮の中にある「おかげ横丁」を運営しています。「おかげ横丁」は約4,000坪の広さがあり、約60店の料理店や食品店が軒を連ねる、巨大なフードコートのような場所。私はその中の「団五郎茶屋」という店で、店長兼料理長を任されています。メインのメニューは、そば、おにぎり、お団子。その他、夏はかき氷、冬はぜんざい、松阪牛串もとても人気があります。

入社前のご経歴を教えてください。

東京出身で、高校を卒業後は都内の居酒屋チェーンに就職し、料理の道に入りました。そこで3年間調理場の仕事を経験した後、魚の知識を深めたくて築地の仲卸の店に転職。魚をさばいて飲食店に卸す仕事を3年ほど経験しました。それから名古屋の寿司屋で4年間働いた後、東京に戻って、居酒屋を開業。妻と9年間その店を経営していました。

でも義理の母の体調が悪くなったのをきっかけに、妻の実家がある三重県桑名市に移住したんです。私はどこででも働ける自信がありましたから、移住にはまったく不安はありませんでしたね。その後、名古屋で居酒屋の店長を5年、三重で居酒屋の店長を5年経験した後、今の会社に転職しました。

転職したきっかけは?

いちばんの理由は、連日深夜まで働く環境を変えたかったことです。居酒屋の営業が終わるのは夜の11時半。その後、片付けや翌日の準備をしていると、帰宅するのはいつも夜中の1時過ぎになってしまいます。そして昼の1時にはまた出勤。休みも思うようには取れない。そんな生活を30年くらい続けてきました。

今はまだなんとかなっていますが「50代、60代になってもこの生活ができるのか」という不安が年齢を重ねるたびにどんどん大きくなってきました。それで、多少給料が安くなったとしても、まだ体が動く40代のうちに転職活動をしたほうがいいと考えたのです。

転職活動はどのように進めたのですか?

ネットで「転職 三重 飲食」で検索して、リージョナルキャリア三重を見つけました。ちょうど飲食業の求人情報が掲載されていたので、すぐにエントリーしました。

その頃はまだ居酒屋で働きながら活動をしていたので、とても忙しかったのですが、こちらの都合のいいときに会ってもらえたのでとても助かりましたね。何社か紹介してもらい、2社の面接を受けました。そのうちの1社が今の会社でした。

今の会社に決めたポイントは?

採用選考の際、社長や営業部長、飲食部門のリーダーなどいろんな方と話をさせてもらえたので、具体的に働くイメージができて安心感がありました。なにより「おかげ横丁」は伊勢神宮の中にあるので、17時には確実に営業が終わります。18時には店を退出できるので、まさに自分の希望通りの条件でした。

ただ1点、自宅から遠いことだけが心配でしたが、伊勢神社の近くに会社の寮が完備されているということだったので、安心して飛び込めました。

18時半に帰宅し、22時に就寝。休日は夫婦で旅行。夢だった生活が実現。

転職していかがですか?

支えてくれるスタッフたちのおかげで楽しく仕事をしています。私が入るまでは一年間ほど、料理長の不在が続いていたようです。そこへ私が入り、最初から料理長を任されることになったのですが、まずは今までやっている作り方や仕事の仕方を覚えることから始めました。幸い、作ったことのないメニューはなかったので、困ることはありませんでしたね。

入社してすぐに店を任される立場になったわけですが、皆がそれまでやってきたことを尊重するように心がけました。入ったばかりの人間がいきなり何かを変えようとすると、誰だって反発したくなるものです。また、ここはお客さまの9割が観光客です。私が入って味が落ちたといわれないように、店の味を守ることがスタートラインだと思っています。

あとは、スタッフが働きやすいように、古い設備を新調するなどの工夫していくことですね。そうすれば皆のパフォーマンスも上がりますし、少ない人数でも仕事がやりやすくなります。スタッフ全員が笑顔で楽しく働ける環境を作ることが、自分の役割だと思っています。

生活面の変化はありましたか?

今は店の近くにある寮で暮らしていて、休日に県内の自宅に帰る生活をしています。店から寮までは車で5分ですから、18時半には自分の部屋に帰り着いています。それからすぐに寮の大浴場へ直行。大きなお風呂は気持ちがいいですよ(笑)。1日の疲れが取れますね。その後、夕食を食べて22時から23時には就寝。そして6時に起床という、とても健全な生活を送れるようになりました。

休みも増えて、月に9~10日は休めています。働き始めてから、こんなに休みをもらえることはなかったかもしれません。そのおかげで、結婚して初めて夫婦で日帰りバス旅行も楽しめるようになりました。額面の給与は少し下がりましたが、今は残業代もしっかり出るので、トータルで見れば収入自体も転職前と変わっていません。

困ったことや課題はありますか?

長年、店長を任されてきて、メニューなどを自分で「考える」仕事をしてきましたから、「覚える」仕事は久しぶりでした。その点は最初、戸惑いましたが、あとは困ったことはないですね。本当に、理想的な環境だと思っています。

転職して良かったと思うことは?

まずは新しい出会いがたくさんあったことですね。スタッフ、上司、お客さま…。出会いの一つひとつが自分の財産だと思っています。これまでのキャリアも十分活かせていますし、これから先のイメージもできるようになりました。それがすごく大きいですね。

飲食業界には、ちょっと前の私のように「60歳になった時にどうなるんだろう?」という不安を抱えながらも、深夜まで働いている人たちがたくさんいるんです。でも私はこのまま頑張っていけば、この会社で、60歳を迎えることができます。自分の時間も大切にしながら、ばりばり働いている自分がイメージできるんですよ。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

10年後の自分が何をしているか、イメージできるのか。イメージできるところで、働けているのか。まずはそう自分に問いかけてみてはいかがでしょうか。なかには一軒のお店で何十年も働いている方もいらっしゃると思います。「これが当たり前」「飲食業だから仕方ない」と諦めていることもたくさんあると思います。でも、実は違う、ということもあるんです。だからまずは外の世界にも興味を持ってほしいし、他と比べてみてほしいなと思います。

今は受け皿もたくさんあると、今回転職活動をしてみて感じました。この業界は人手不足。特に、店長やマネージャーを経験している人はどの会社も欲しがっています。店を増やすときには店長が必要ですからね。これから何を大切にしたいのか。何を求めて仕事をしていくのかを見つめ直し、今の環境が違うと思えば、変えてみてもいいんじゃないかと思います。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
三田 佳奈子

一見強面の大西さんは、それまで私が抱いていた料理人のイメージをガラッと覆す、とても人間味のある優しい方でした。築地生まれの大西さんは、約30年料理に携わり、料理の腕前はトップクラスですが、常にお客様を第一に考え、周囲の意見を素直に前向きに受け入れる柔軟性と適応性の高い方でした。「大西さんの長所を活かせる企業をご紹介したい!」と強く思いました。

店長として入社しましたが、1ヶ月も経たないうちに料理長も兼務するようになり、短期間で仕事ぶりと人柄を企業から高く評価いただけたようです。大西さんのご活躍と「おかげ横丁」の益々の発展を楽しみにしたいと思います。

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