株式会社キューデン・インターナショナル
森岡拓海さん(仮名・アセットマネジメント) 45歳
諦めなかったUターン転職。エネルギー業界で培った経験を軸に福岡で拓くキャリア。
大手エネルギー企業において、営業活動からオセアニア地区の生産プロジェクトの管理、さらに中東での新エネルギー事業の開発に至るまで、エネルギー業界の最前線でキャリアを築いてきた森岡さん。
「いつかは九州に帰りたい」という想いから転職支援サービスに登録し、転職活動を始めたものの、福岡ではそのキャリアを活かせる求人は限られていた。活動は思うように進まず、行き詰まりを感じることもあったという。
そうした状況の中、森岡さんはどのようにして困難を乗り越え、現在の仕事に出会ったのか。現在の業務内容や福岡での暮らし、そして転職活動に込めた想いについて語ってもらった。
※本記事の内容は、2025年9月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで67日間
転職前
- 業種
- エネルギー
- 職種
- 営業、アセットマネジメント
- 業務内容
- 販売計画策定・各種交渉、各種プロジェクト管理業務など
転職後
- 業種
- エネルギー
- 職種
- アセットマネジメント
- 業務内容
- 事業全体の収支管理、工事の進捗管理、銀行との資金調達に関する業務など
グローバルな経験を活かし、未来のエネルギーを支える。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
当社が出資・関与している海外発電所の運営管理を担う「アセットマネジメント室」に所属しています。
主な業務は、発電所に新たな設備を導入するなど、大規模な投資が必要となる際などに開かれる取締役会へ参加し、会社としての方針決定に関わることです。また、事業全体の収支管理も私の重要な役割の一つです。
最近はチームの一員として、東南アジアの発電所資産の売却案件に携わりました。現在は建設段階にある中央アジアの案件を担当し、工事の進捗管理や銀行との資金調達に関する業務などを行っています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学卒業後、財閥系の特殊鋼メーカーに入社し、車両や通信機器向けの特殊部品の受注・販売業務に従事しました。その中で「より社会にとって不可欠な製品や事業に携わりたい」という想いが強まり、エネルギー企業へ転職しました。
前職で担当していた業務の一つは、営業です。市場動向を読みながら、どのように付加価値をつけて販売するかを常に考え、顧客とのネットワーク構築や契約書の確認なども担いました。
もう一つは、生産プロジェクトを管理するアセットマネジメントです。プロジェクトのキャッシュフローや経済性の評価、契約書対応、生産子会社の売却活動、脱炭素関連事業への取り組みなど、幅広い業務に携わってきました。
転職のきっかけは?
一番の理由は、九州(福岡)へのUターンです。決して前職の仕事に不満があったわけではなく、「いつかは九州に帰りたい」という想いを以前から持ち続けていました。
妻も九州出身で、子どもが生まれたことをきっかけに、両親からのサポートや今後の子育て環境を考慮して福岡に生活の基盤を移したいという気持ちが強まりました。
仕事面では、これまでのキャリアで培ってきた海外での経験を活かしつつ、グローバルなつながりを持てる企業で働きたいと考えていました。
転職活動はどのように進めましたか?
Uターンを考え始めてから、複数の転職支援会社とやり取りをしましたが、書類選考がなかなか通らなかったり、条件面で折り合いがつかなかったりと、苦戦が続きました。
福岡では、自分の希望に合った求人が限られていたため、「もうこれ以上は難しいかもしれない」と、正直なところ行き詰まりを感じていました。
そんな折、リージョナルキャリア福岡のコンサルタント、瀬川さんと出会って現在の会社をご紹介いただきました。最初は半信半疑でしたが、話が進むにつれて「このチャンスを活かしたい」と思うようになりました。
今振り返ると、本当に瀬川さんとの出会いやタイミングといった「ご縁」に救われたと感じています。
今の会社に決めたポイントは?
やはり、社会にとって不可欠なエネルギー分野に関われることに加え、海外との接点がある業務に携われる点、そして長年の希望であったUターンを実現できることが、大きな決め手となりました。
子育て環境や年収面で納得できる条件が揃っていたことも入社を決めた理由の一つです。
特に印象に残っているのが、満吉社長との最終面接です。「これから事業を大きくしていきたい」という夢やビジョンを熱く語る姿に、非常に感銘を受けました。
お話を伺ううちに、「この方と一緒に働きたい」という気持ちが強まり、入社への決意が固まりました。
新たな環境で感じるプレッシャーと、家族と過ごすかけがえのない時間。
転職していかがですか?
「エネルギー」という大きな枠組みでは前職と共通していますが、発電事業はこれまでとは異なる分野のため、苦労することも多く、まさに一からの学び直しの毎日です。
また、ある程度の年齢と経験を持って入社している分、周囲からの期待に応えなければというプレッシャーも日々感じています。
それでも、社内の雰囲気は非常に良く、さまざまなことを親切に教えてもらえるため、少しずつ会社に馴染めていると感じています。
転職して良かったと思うことは?
前職に比べて組織の規模が小さい分、一人ひとりに与えられる責任が非常に大きいことです。
前職では約3,000人規模の中の一人として働いていましたが、現在の組織はその20分の1ほど。「しっかりやらなければ」という責任の重さはあるものの、それが自分自身の成長につながる、良いプレッシャーになっていると感じています。
まだ経験が浅く、実績と呼べるものは多くありませんが、大きな裁量を任されていることにやりがいを感じています。
困っていることや課題はありますか?
現在の課題は、これまでまったく経験してこなかった銀行融資に関する知識を身につけることです。
今の事業では「プロジェクトファイナンス」という手法で融資を受けており、資金調達に関する実務や方針について会社の意見を自ら発信する必要があります。
前職では、こうした業務や金融機関との交渉は財務・経理部門が担っていたため、自分が直接関わることはありませんでした。しかし現在は、プロジェクトを前に進めるうえで、自らが中心となって意見出しを行い、社内の意見を集約し、会社としての立場を関係者に伝えなければなりません。
非常に重要な分野であることを認識しつつ、目の前の業務を通じて、一つひとつ着実に知識と経験を積み重ねていきたいと考えています。
生活面の変化はありましたか?
生活面では、福岡に来て本当に良かったと心から感じています。東京にいた頃よりも広い家に住めるようになり、車を購入したことで家族での行動範囲も格段に広がりました。
週末は気軽に公園へ出かけたり、子どもの習いごとに付き添ったりと、家族で過ごす時間が増えたことは、何よりもうれしい変化です。子育ての環境としても、福岡は本当に恵まれた場所だと感じています。
また、働き方も柔軟になりました。リモートワークが認められているため、妻の負担も考慮しながら、出社と在宅勤務を自分で調整できる点は非常にありがたく感じています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私の経験からお伝えしたいのは、何よりも「諦めないこと」です。私自身、何度も不採用通知を受け取り、気持ちが落ち込む時期もありました。
それでも、「九州に帰りたい」という強い想いを持ち続け、可能性を信じて行動し続けたからこそ、今の結果につながったのだと感じています。
また、転職活動はどうしても孤独になりがちですが、信頼できる相談相手を見つけることも非常に大切です。不安なことを一人で抱え込まず、言葉にして相談することで気持ちを前向きに保てます。
特に地方への転職は、希望する求人が少なく、厳しい道のりになることもあるかもしれません。それでも、諦めずに粘り強く活動を続けていけば、きっと良いご縁に巡り会えると信じています。