転職成功者インタビュー

四国化成工業株式会社
滝川誠さん(仮名・知的財産管理) 37歳

知財管理のスキルを開発に活用する。そんな理想の役割が香川で実現した。

大手電子部品メーカーで電池設計・開発に携わっていた滝川さんは、開発業務の中で知的財産管理の重要性を実感し、知財管理アナリストの資格を取得した。仕事にはやりがいを感じていたものの、全国転勤があるという点に懸念を抱いていたという。

「子育てなども考えると、一つの所に腰を落ち着けた方がいいのではないか」家族と相談の上、滝川さんは配偶者の実家である香川へのIターンを決意する。

化学か知財の経験・スキルを活かせることを条件として香川で仕事探しを始めた滝川さんに、リージョナルキャリア香川のコンサルタントは四国化成工業を紹介。そして、自身のこれまでの経験・スキルを活かした新しいステージで挑戦できると感じた滝川さんは同社への転職を決断した。

現在は同社の研究企画室で知財管理として活躍する滝川さんに、転職活動を振り返ってもらった。

※本記事の内容は、2024年4月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで523日間

転職前

業種
電気機器メーカー
職種
研究開発
業務内容
リチウムイオン電池の研究開発

転職後

業種
無機化学工業製品メーカー
職種
知的財産管理
業務内容
研究企画室での有機化成品や無機化成品等の知的財産管理業務

全国転勤がある環境より、一つの場所に腰を落ち着けたかった。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

四国化成工業の研究企画室に所属し、グループ全体の知的財産管理を担当しています。

四国化成グループには化学品と建材の事業があり、独創力のある技術・製品を開発して市場にリリースしています。そこで、各事業の研究開発部門と密接に連携した知財活動を実行し、事業や開発の進展に貢献するのが私の役割です。

知財管理は、「創造」「保護」「活用」の3つのフェーズに大きく分かれます。「創造」とは、開発成果に含まれる知財を特許や意匠などにどう具体化するか。「保護」は、出願した知財の権利化や権利の維持のための対応。知的財産権は国ごとに出願・権利化する必要があるため、権利内容や事業の状況を鑑みながらどの国で権利を取得するか、といった検討も行います。「活用」は主に取得した権利を独占的に使用することで、独創力と競争力のある製品の提供に繋がっています。

さらに、知財部門が積極的に研究開発に入り込み、支援活動も進めています。研究開発部門が新たなテーマを決める際、私たちが対象分野の市場や競合の技術動向を特許情報の解析によって俯瞰的に「見える化」するのです。それにより、顧客ニーズを的確に捉えた開発ができるようになるわけです。

特許情報の解析には専門的なスキルが必要ですし、開発現場についても知っておかないといけないので、誰でもできるというものではありません。この活動は四国化成グループをより発展させる大きな力になると思います。

入社前のご経歴を教えてください。

電子部品メーカーでリチウムイオン電池の研究開発に携わっていました。キャリアの後半では主にモバイル端末向けの電池設計・開発を担当。海外の顧客と共同で進めるプロジェクトにも参画しました。

開発者として仕事を進める中で、知的財産の権利取得や保護、そしてその情報を活用することの重要性に気づき、「知的財産アナリスト」の資格を取得。開発部門における知財活動のリーディングも行っていました。

転職のきっかけは?

前職の仕事にはやりがいを感じていましたし、ポジションや待遇にも不満はありませんでした。ただ、全国転勤が前提で、すぐにも転勤がありそうという状況でした。私も30代後半になっていましたし、配偶者や子どももいる中、一つの土地に根を張って暮らす方がよいのではないか、と思うようになりました。

そこで、家族と相談し、配偶者の実家のある香川へ移住するという結論に至りました。そして、子どもが小学校に上がるタイミングで香川へ、配偶者にとってはUターン、私にとってはIターンすることにしました。

転職活動はどのように進めましたか?

転職予定の1年半くらい前から転職サイトで情報を収集しました。できれば前職と同じ電池の設計開発が良かったのですが、香川では見つかりません。そこで、自分のキャリアを一度棚卸しし、大学から専門としていた化学系と資格を取得してスキルのあった知財系の仕事に焦点を定め、もう一度情報収集しました。

香川県が大阪で開催したU・Iターン説明会に行って話を聞いたりする中でリージョナルキャリア香川の存在を知り、相談させてもらうようになりました。

転職支援会社にはいくつか登録していたのですが、リージョナルキャリア香川は香川の企業について豊富な情報を持っていましたし、担当コンサルタントが親身に対応してくれたので、最終的には同社一本に絞って転職活動を進めました。

今の会社に決めたポイントは?

化学品の開発を行っており、自分のこれまでの知識や経験が活かせる。そして様々な分野でオリジナルの技術・製品を保有しており、知財としてもスキルは活用できそう。加えて香川に根ざしたメーカーで、転勤もなさそう。いろんな角度から見て、条件に最も合っていたのが四国化成工業です。

化学と知財の両方の強みを活かした新たなステージで挑戦できると感じ、入社を決断しました。

開発部門とともに新たな価値を創造する、という手応えがある。

転職していかがですか?

知財職で入ったものの、開発の中身がわかっていないと頭でっかちになってしまい、独りよがりな知財になりかねません。その点、私はもともと開発畑の人間なので、知財部門に対する開発部門のニーズをよくわかっています。

そんな背景もあって、とてもスムーズに仕事に入れました。会社も私のスキルとキャリアを評価してくれていたようなので、「期待にうまく応えることができたかな」と思います。

転職して良かったと思うことは?

自分の経験やスキルが開発に貢献できている、という手応えがある点ですね。知財部門にとっての「お客様」は開発部門と私はとらえています。その「お客様」の顔が直接見えるので、提案が進めやすいです。

ここでは開発部門がそばにあり、何かあればお互いにすぐ話しにいけます。開発と知財は伴走しながらお互いの役割を果たすパートナーでもあります。

ですから、開発成果が権利化された時は一緒に喜べるし、完成した製品が顧客に採用された時は自分も開発者と同じ達成感を味わえます。それがとても面白いですね。

困っていることや課題はありますか?

この会社以外の環境も知っている転職者にとって、「ここはもっとこうできるんじゃないか」と気づいたら指摘し、改善を働きかけるのも大事な役割の一つだと思っています。

そこで私は積極的に風土づくりのプロジェクトに参画し、力を合わせてもっと会社を良くしていこうと活動しています。おかげで職場環境がいろいろブラッシュアップされてきました。

また、2023年からホールディングス体制となり、事業ごとに会社が分かれたことで意思決定のスピードが格段に早くなりました。社員全員の力で四国化成をもっと進化させたいですね。

生活面の変化はありましたか?

香川は結婚してから何度も来ていて、暮らしやすそうなところが気に入っていました。実際に来てみて、やはりとても住み心地がいいと感じます。

香川に住み始めてから楽器の演奏を始めました。その影響か、子どもたちが小学校で吹奏楽部に入ったため、お手伝いにも行くのも楽しいですね。会社でも楽器経験者が集まってバンド演奏をしています。

また、近所の公民館を使って地域の子ども向けに理科の授業も始めました。我が子に理科好きになってほしくて、いつか教えたいと考えていたのですが、どうせなら地域の子どもを集めてやってみようと思い立ちまして。

子どもたちも喜んでくれたし、私も楽しめたので今後も継続したいですね。ずっとここで暮らしていくのですから、地域社会ともつながっていこうと思います。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

自分のキャリアや将来像を考え直す時期は誰にでもやってくると思います。結婚とか子どもが生まれたとか、あるいは大きな災害などもきっかけになるかもしれません。いろいろなきっかけがあったときに、その都度将来像を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

また、時間が経てば経つほど身動きしにくくなるものです。家族とも相談して、「将来どうしたいのか」と普段から意識しておいた方が良いと思います。

転職するとなった時は必ずしも前職と同じ仕事にこだわる必要はない、というのが私の実感です。同じ仕事でキャリアアップも良いですが、新たなステージに挑戦できるのも転職の良いところです。

もしかすると、あなたの可能性は別の領域にも眠っているかもしれません。しっかりした転職コンサルタントならその見極めや提案もしてくれます。いろんなアドバイスをもらいながら、自分の可能性を広く見つめてください。

担当コンサルタントから

チーフコンサルタント 
四ノ宮 こころ

ご相談当初、香川でリチウム電池の研究開発に関われる可能性はゼロに等しく、開発者として積み重ねてきた知見を活かしきれない現実と、家族のために叶えたい移住への思いとの間で大きな不安や葛藤を抱えられていたと思います。

1年半後に再会し、悩みながらも移住への決意に至った経緯を話してくださった時のことは今でも鮮明に覚えています。

開発職という職種へのこだわりではなく「あくまでエンジニアとして」という軸から柔軟に次のキャリアを見いだした滝川さん。「開発経験を知財に活かす」という挑戦を選び、今では四国化成社の開発部門とともに新たな価値創造に向けて様々な取り組みを率先されています。

あの時の悩みや葛藤、自己理解のステップがこうして今のご活躍につながっていることを本当に心から嬉しく思います。

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