転職成功者インタビュー

株式会社マキタ
中村拓哉さん(仮名・設計) 28歳

巨大なエンジンが目の前で動く。その実感を求めて船のエンジン設計に挑戦。

大学卒業後、自動車のオートマチック・トランスミッション開発(以下、AT開発)に従事していた中村さん。エンジニアとして着実なキャリアを築いていたものの、想い描くモノづくりの実感を見出せず、もどかしさを感じていた。

「手掛けた製品が動くところを見たい」自分のモチベーションに気づいた中村さんは転職を検討し始め、大学生の頃に憧れたエンジンに関わる仕事に地元香川で出会う。

株式会社マキタへの転職から1年が経過した今、当時の心境や転職による仕事・暮らしの変化を振り返ってもらった。

※本記事の内容は、2024年4月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで27日間

転職前

業種
自動車開発専門のエンジニアリング企業
職種
設計
業務内容
AT開発の油圧制御

転職後

業種
船舶用エンジンメーカー
職種
設計
業務内容
エンジンの性能計測・解析・調整

モノづくりの達成感が得られず、もどかしかった。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

マキタは世界の海を航海する全長100〜200m級の船に載せる、2ストロークのエンジンをつくっており、この分野では世界トップシェアを占めています。

私はそのエンジンの設計を行う部署で基本設計を行っています。具体的には舶用エンジンの性能解析を行い、各種規制やお客様の要望にマッチした仕様を検討します。実際にエンジンを動かして性能計測や解析を行いながら計画通りに仕上げるまでが仕事です。

入社前のご経歴を教えてください。

出身は香川県高松市です。大学では機械工学を学びました。機械の設計に携わりたいと考え、自動車の開発分野をメインに技術力を提供しているエンジニアリング会社に新卒で入社しました。

入社後はAT開発の油圧制御を担当し、国内や海外メーカーの車両開発に携わっていました。

主にテストコースから送られてくる電子データを解析して、エンジンの回転数やトルク、油圧のパラメータ調整などを行います。数値や信号情報からAT内部の物理現象がどうなっているかを推測し、要望や要求に合わせて油圧制御を設計するという業務です。

転職のきっかけは?

前職はデスクワーク中心で常にデータと向き合っており、自分の作ったものが実際に動いているところを見る機会はありませんでした。

完成車は見られますが、手掛けた製品はすでに内蔵されているので、ものづくりの実感を持ちにくい状況でした。達成感が得られず、やりがいも見失いつつある中で、残業も多くハードな働き方が続いていました。

当初、働き方は1~2年も経てば少しは改善されるだろうと考えていました。しかし5年経っても忙しくなるばかり。設計した製品を実際に目で見ることもできず、もどかしさは募る一方でした。

ふと「この仕事を10年後も続けられるか?」と自分に問うた時、それは正直厳しいと感じました。そして、「やったことが形として目に見える仕事をしたい」、そんな想いから転職を考えるようになりました。

転職活動はどのように進めましたか?

仕事を続けながら一社ずつ、知らない企業を自分で見つけていくのは大変なので、登録した転職サイトから届く求人情報で気になるものをピックアップしようと思いました。その時はまだ、「絶対に香川に帰る」と決めてなかったので、気長に考えていました。

そんな中、リージョナルキャリア香川から「エンジン設計」というポジションの紹介をいただき、マキタに興味を持ったのがUターンを考えるきっかけになりました。

今の会社に決めたポイントは?

実は大学生の頃、エンジンの開発をやりたいと思っていたことがあったんです。まさか香川にエンジンを作っている会社があるとは知らず、驚きました。

マキタの最終面接で工場を見学したとき、本当に目の前に巨大なエンジンがドカーンとあって。「作ったエンジンがここで動くのか!」と、その環境を肌で感じられたことが大きかったです。

香川でエンジン開発に関われる仕事をご紹介いただけてありがたかったですし、「地元で好きな仕事に就けるなら、この機会を掴みたい」という想いが強くなりました。

一点モノのエンジンだからこそ、その性能を徹底的に追求できる。

転職していかがですか?

職場環境としては、非常に満足しています。前職に比べて残業もほとんどないですし、過度なプレッシャーが掛かることもありません。体力面・精神面ともにずいぶん余裕ができました。

また、工場に行けばエンジンをいつでも見られるので、設計したエンジンがすぐ横で動いているという環境はやはり良いものです。

それから、職場の雰囲気や風通しが良く、人間関係も良好です。社内の承認プロセスも明確で意思決定のスピードも速く、仕事も進めやすくて非常に居心地が良いです。

転職して良かったと思うことは?

まずは地元にいる安心感でしょうか。生まれ育った故郷で働けるというのは、気持ち的に大きく違うものです。基本的に定時で帰れるようになったので、仕事とプライベートのオンオフも付けやすくなりました。

業務に関しては、実は前職の仕事と本質的には近いところがあり、応用が利くことを発見できたことは嬉しかったです。例えば、今エンジンは電子制御されているのでパラメータを調整してエンジンの性能、燃費やノックスの値などを改良していきます。

そこに前職の油圧制御のセンスや基本的な解析方法、考えるべきポイントなどを応用できるのです。前職と結構近いことをやっていると、自分でもびっくりしました。マキタでやっていることは新しいことですが、そこまでギャップがなかったことに安心しました。

他にも、「船だからできる」という面白さもあります。自動車は大量生産品なので、性能試験をクリアするためには、これから世に出る何百万何千万台の車でも同じ品質を保てるかどうかが重要になります。つまり性能を極めるよりも、いつも同じ性能を担保できるレベルが求められます。

一方、マキタのエンジンは一品モノなので、目の前にある一台にこだわることができます。性能を高めるために、やりたいことができる、スペシャルなことができる。これはエンジニアとして、やりがいそのものです。

量産品と一品モノの視点の違いは転職を経験しなければ気付けなかったので、過去の経験は無駄ではなかったと感じています。

困っていることや課題はありますか?

「車」と「船」はやはり全然違いますので、船舶エンジンの知識がまったくなかったことは不安でした。でも、マキタは現場が歩いて3分の距離にあって、いつでも現場で学べることに助けられています。

エンジンを試運転するときは現場に行き、エンジンを動かす試験グループの人たちといろいろな調整を進めるのですが、そこで学ぶことも多くあります。

また外部調達している装置メーカーの方が勉強会を開いてくれたこともあり、様々な形で新しい知識を得ることができています。

転職して1年ほど経ちますが、最近ようやく理解できるようになってきたと感じています。

生活面の変化はありましたか?

地元の友人と気軽に会えるようになったのは嬉しいですね。前職では職場の同期や後輩との付き合いしかなかったですし、私自身が会社の飲み会とかに積極的に参加するタイプではなかったので、あまり交友関係は広くありませんでした。

地元に戻ってからは気の置けない仲間と過ごす時間が増えたので、プライベートも充実しています。残業もないので、趣味に費やす時間も大幅に増えました。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

私の基準になりますが、もし今の仕事や生活に疑問を感じているなら、10年後の自分を想像してみてはどうでしょうか。同じ場所にいて幸せを感じるかどうか。もし明るい10年後をイメージできなければ、転職を考えてみても良いと思います。

そして新しい業界や仕事への挑戦をする場合は、やはり少しでも若いときの方が可能性は広がります。まずは自分が転職してみたらどんな選択肢があるのだろう、そんな単純な視点で将来を見てみても良いのではないでしょうか。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
四ノ宮 こころ

大学進学時から県外に出てキャリアを築いていた中村さん。技術者としてがむしゃらに働いた経験があるからこそ、未来の自分を軸とした転職を決断できたのだろうと思います。

インタビューでは中村さんが車から船へと業界を変えたこともあり、同じ設計でも「何が違うのか」という観点からお話を伺いました。技術的な観点はもちろんですが、設計者として思案所の違い、品質基準に対する概念の違いが仕事にどう関係するのか、そしてそのやりがい、達成感の違いなど興味が尽きませんでした。

盛り上がるインタビューからは何より、いま中村さんが仕事に求めた「ものが動く実感」を存分に楽しんでいる様子が伝わってきました。そして仕事に限ることなく、シンプルにどんな時にワクワクするか、自分の心が躍る瞬間を選択する大切さを教えてもらいました。

あの巨大な船のエンジンを瀬戸内海から世界の海に送り出すマキタ社での仕事は、本当に意義あるものだと思います。今後のご活躍を心から応援しています。

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