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2032年に売上500億円を目指し、攻めの経営で「強い産交」を取り戻す。

九州産業交通ホールディングス株式会社
代表取締役社長 織田 正幸

熊本 更新日:2026年7月22日

広島県出身。大学卒業後、株式会社東京クマヒラに入社。1996年に株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)入社後、関西営業本部長、HIS JAPAN VP、国内旅行営業本部長、常務取締役などを歴任。2025年12月より現職に就任、現在に至る。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

この記事でわかること

  • 「SAKURA MACHI Kumamoto」を核に9事業をつなぐ九州産交
  • インバウンドが必ずタッチする「産交経済圏」の構築で売上500億円へ
  • HISとの連携を活かし、熊本から全国・世界へ広がる仕事
  • 成果連動の評価と抜擢人事で、若くして活躍できる環境をつくる
  • 「個人技×チームワーク」で追求するグループ全体最適

4期連続増収の勢いに乗り、「攻めの経営」へ舵を切る。

九州産交グループは、自動車運送事業(路線バス・高速バス・貸切バス)・食堂売店事業・旅行業・不動産賃貸業・整備事業・航空代理店業・海上運送事業・シェアードサービス事業・コンサルティング事業など、9つの事業グループ、10社の事業会社で構成されています。

主要グループ会社としては、九州産交バス(路線・高速・貸切)、九州産交ツーリズム(旅行・航空)、九州産交ランドマーク(不動産管理)、九州産交リテール(飲食・売店)などがあります。

各社ともに業績は好調で、2019年9月に開業した「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチクマモト)」は、月間約120万人にご来場いただき、キャッシュベースのEBITDAでもプラスに転じました。グループの連結売上高は約253億円で4期連続増収を達成しています。

特に力を入れているのが、各事業のノウハウや強みを横断的につなげる「産交オンリーワンプロジェクト」の推進です。バス事業と観光事業の連携、路線バスを活用した貨客混載、SAKURA MACHI Kumamotoとの協働など、グループ内のシナジーを最大化する施策が進行中です。また、親会社であるHISグループのグローバルネットワークを活用できることも、私たちの大きな強みです。

前経営陣が事業を丁寧に立て直し、守りと攻めの両輪を高い水準で機能させてきた結果として、今があります。私が着任したのは、まさにその土台を活かして次のステージへ移行するタイミング。種がまかれて芽が出てきたこのフェーズに、水をやり、大きく花を咲かせるのが私の役割です。

インバウンドが必ずタッチする「産交経済圏」の構築を目指す。

グループの中で最も成長が期待できる分野はやはりインバウンドツーリズムです。熊本県の訪日外国人の伸び率は全国トップクラスで、阿蘇・天草・熊本城、そしてワンピースをはじめとするアニメコンテンツが非常に強い集客コンテンツとなっています。

台湾には台北・台中・高雄・台南の全主要都市から熊本への路線が開設されており、TSMCの進出による国際的な注目度の高まりも大きな追い風になっています。インバウンドが伸びれば、バス事業も、リテール事業も、旅行事業も連動して伸びていく。グループ全体がインバウンドという一つのエンジンで引っ張られていく構造が生まれるわけです。

数値目標としては、グループ90周年を迎える2032年に、売上500億円・営業利益20億円超を目指しています。そのためのキーワードが「産交経済圏」の構築です。熊本に来るインバウンド客が、必ずどこかで九州産交グループのサービスを利用する。そんな状況をつくりたいのです。

SAKURA MACHI Kumamotoを中心に、バス・リテール・ツーリズムが連携したシームレスな体験を提供しつつ、阿蘇や天草などの観光地にはキラーコンテンツとなる大型投資も検討しています。台湾・韓国にはセールス拠点を設けて現地から直接誘客する仕組みも構築します。

HISの世界的なネットワークを最大限に活用し、海外から熊本への送客をさらに強化していく。これが私たちの描く成長戦略です。

南九州の観光資源を世界へ、広域連携で新たな旅の軸をつくる。

もう一つ大切にしているキーワードが「選ばれる存在」になるということです。その実現に向けて、まず取り組むべき課題が、SAKURA MACHI Kumamotoの独自カラーを磨き上げることです。

熊本城に隣接するという類まれな立地の強みを、まだ十分に活かしきれていない、というのが正直なところです。ファミリーもインバウンドも、「SAKURA MACHI Kumamotoに来れば楽しい」と言っていただけるような体験型施設へと進化させる。そうした魅力が高まれば、テナント側から出店を希望する好循環も生まれてきます。

「熊本貢献企業」というスローガンも掲げていますが、地域の皆さんに貢献するためには、まずビジネスとしてしっかりと伸びることが大前提です。東京・大阪からの国内観光客、そして台湾・韓国など海外からのインバウンドを確実に取り込んでこそ、地域への大きな還元が生まれます。

また、鹿児島・宮崎の素晴らしい観光商材は、まだ海外のお客さまに十分届いていないと感じています。阿蘇や湯布院だけでなく、南九州を縦断するルートを提案できれば、熊本を起点とした広域周遊がさらに広がります。自分さえ良ければという発想では絶対にうまくいきません。

お客さま、地域、そして私たちがハッピーになれる形を追求して、みんなで熊本・九州を盛り上げる姿勢こそが「選ばれる存在」への本質的な道だと確信しています。最終的には、熊本・九州という枠を超えて、日本全国に名を知られる交通・観光インフラ企業としてのプレゼンスを確立したいと考えています。

事業の幅と連携の深さ、産交ならではの面白みがここにある。

かつての九州産交は、熊本でも非常に強い会社でした。ホテル経営、グアムへの店舗展開など多角的に事業を展開し、コングロマリット的な存在感を誇っていた時代がありました。その「強い九州産交」を取り戻すこと。これが私の大きな目標であり、使命です。

「攻めの経営フェーズ」にあるこのタイミングでは、ダイナミックな仕事の進め方が必要です。インバウンド戦略、M&A、新たな観光コンテンツの創出、デジタル化など、やりたいことが山積みです。

つまり、携わる人間にとっては、自分の仕事が会社の未来に直結しているという実感を持ちながら働けるフィールドがここにあるということです。

また、HISグループの傘下にあることで、熊本にいながら全国・世界を相手に仕事ができるという稀有な環境もあります。HISとの人事交流も積極的に推進しており、地方企業でありながらグローバルな視野と経験を持てるのは九州産交グループならではの魅力といえるでしょう。

さらに、SAKURA MACHI Kumamotoという一つの街のような複合施設を持ち、そこを起点にバス・旅行・飲食・不動産といった多彩な事業が連動している。事業の幅広さと連携の奥深さは、この会社ならではの面白みです。

「入りたい会社」をつくる─若さと挑戦が組織を変える。

目指しているのは、熊本の学生が「就職するなら九州産交」と迷わず言ってくれるような会社です。熊本を代表する優良企業と並んで、優秀な人たちが真っ先に応募してくれる存在になりたい。そのためには、若くして責任あるポジションに就ける職場環境づくりが欠かせません。

現在の経営幹部は50~60代が中心ですが、40代の社長が誕生しても全く問題ない、むしろどんどん実現させていきたいと思っています。頑張れば認められてポジションがつく──そういう事実を目に見える形で示していかないと、若い人のやる気は育ちませんし、会社自体が若返っていかない。抜擢人事も積極的に進めていきます。

人事制度は今まさに抜本的な改革に取り組んでいます。年功序列的な評価から脱却して、成果をきちんと処遇に反映する制度に切り替えていく。頑張った人が正当に評価され、それが給与やポジションに直結する、シンプルで公正な仕組みを整えていきたいと思っています。

求める人物像としては、明るく元気で、スピード感を持って仕事に取り組める方であれば、新卒・中途を問いません。特に歓迎したいのは、海外誘客ができる語学力、コンサルティング経験を活かしたプランニング力、広報・マーケティングのスペシャリストなど、新しい風を吹き込んでくれる方です。

Uターンを考えている方や、九州で面白い会社を探している方にはぜひ声を大にして伝えたい。「企業は人なり」という言葉は月並みですが、人材こそが最大の事業リスクであり、最大の成長エンジンです。山は高いですが、一緒に登れば必ず頂上が見えてくると信じています。

「個人技×チームワーク」が強い産交をつくる経営の核。

組織づくりについては、各事業会社がそれぞれの競争力を高めながら、同時にグループ全体でシナジーを発揮できる体制づくりが課題です。各社の社長が自社の最適だけを追うのではなく、グループ全体の最大化を意識してマネジメントしてほしい。

サッカーに例えると、個人技の高い選手がチームワークを発揮してこそ強いチームになれる。個の能力と組織の連携という両輪を同時に高めていくことが、私の経営の核心にあります。

バス乗務員や整備士の不足は業界全体の深刻な課題であり、会社全体の若返りと人材の底上げは今すぐ取り組まなければならない最重要課題の一つです。外国籍の特定技能者の採用にも偏見なく積極的に取り組んでいく方針で、真面目で能力の高い方であれば管理職になっていただくことも大いにあると思っています。

働き方の面でも、「この会社で働いて良かった」と心から思えるような環境づくりを続けていきます。賃上げも着実に進め、待遇面でも魅力ある会社にしていかなければなりません。「九州産交の未来を一緒に描きたい」、そんな志の高い仲間が来てくれたら、これほどうれしいことはありません。

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