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持続可能で明るい世界を築く。九州のグローバルエネルギー事業者としての挑戦。

株式会社キューデン・インターナショナル
代表取締役社長 柚須 亮太郎

福岡 更新日:2023年2月22日

1986年4月 九州電力株式会社 入社
2006年7月 同社 火力部 課長
2009年7月 同社 海外事業 部 海外事業開発総括グループ 課長
2010年7月 同社 国際事業本部 海外事業部海外事業開発第3グループ長
2012年10月 同社 国際事業本部付株式会社キューデン・インターナショナル 出向
2015年7月 同社 国際事業本部 海外事業開発総括グループ長
2016年7月 同社 国際事業本部 副部長 兼 海外事業開発グループ長
2017年4月 同社 国際室長
2019年6月 同社 執行役員北九州支社長
2022年6月 同社 執行役員、当社代表取締役社長を兼務
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

九電グループの海外事業を一元的・集中的に行う実施部隊。

当社は九電グループにおいて、海外電気事業の拡大を使命とする会社です。1999年に設立された当初はペーパーカンパニーでしたが、2012年に九州電力の海外事業部門から実際に人員を移管し実体化を進め、現在では総勢118名を有する企業に進化してきました。

九州電力のグループ会社として、これまで九州電力が国内電気事業で培ってきた電力の安定供給に関するノウハウを活かし、 経済成長と共に電力需要の伸びが見込まれる海外で発電所の建設を進め、当該国における電力の安定供給に貢献してきました。

これまで25年近くの歴史において、アジア地域を中心に米州や中東などにも事業領域を拡大しながら、現在、アジア、北米、中東など多くの地域で20を超えるプロジェクトに参画しています。

また、2019年に米国ニューヨークとタイ・バンコクに海外拠点を設置し、続く2020年には東京支社を開設しています。これらの海外拠点に加え、現地プロジェクト会社を含めると総勢15名の社員が海外で活躍しています。

原点は“地域への貢献”と“意義のある仕事”。

私は、瀧廉太郎の代表曲「荒城の月」のモデルになったとされる岡城跡がある大分県竹田市の出身です。高校まで地元で過ごし、鹿児島の大学に進学しました。九州への愛着や思い入れが強かったので、専門の電気工学を活かして地元九州に貢献したい、地元に残って意義のある仕事がしたい、そう思って九州電力に入社しました。

現在、送配電は分離していますが、私が入社した当時は「火力」「原子力」「送変電」「配電」と大きく4つの技術部門に分かれていまして、私は火力部の配属でした。今に至るまでに私もあちこち行っていまして(笑)、火力だけでなく燃料関係や、東京にブランチオフィスがありますが、そこで新しい発電所を建設する際の環境アセスメント関係など、電源開発に関わる様々な業務に携わってきました。

語学の面では、30歳の時にニューヨーク大学に留学をさせてもらった経験が大きいですね。日本人は書類の読み込みやライティングには強いけどオーラルコミュニケーションは苦手という人が多いですよね。私も最初はまったくわからなかったのですが、ニューヨークは喋るスピードが速いので鍛えられました。

その時の遺産で食い繋いでいますが(笑)、国際事業で他の国の人とやりとりをする中で、同じスピードレベルでコミュニケーションができることの重要性が骨身にしみてわかりましたね。

世界には我々のことを必要としてくれる人たちがたくさんいる。

日本が高度経済成長を経て国内の電源が充足して飽和しはじめたことから、蓄積してきた技術を維持・活用・発展させるために我々は海外事業に乗り出しました。

また、世界を見渡してみると、まだまだ無電化地域があったり、電化率が低いために勉強ができない子どもたちがたくさんいます。そうであれば、電源が必要なところに発電所を建設し、技術貢献するべきだろうということで海外事業がスタートしました。

もちろん我々はビジネスパーソンですから、リターンがある程度はっきりしていないと事業としては成り立ちません。ただ、社会貢献につながる案件や社会的意義がある案件をできるだけやりたいと思っています。申し上げた通り、現在、アジア、北米、中東など多くの地域で20を超えるプロジェクトに参画していますが、リターンのことだけを考えて参画しているわけではありません。

我々が参画する意義、そこにどんな意味があるのか議論に議論を重ね、「それなら、我々が参画する意味があるよね」というプロジェクトに参画をしています。我々が参画してもしなくても変わらないのであれば、我々でなくてもいいと思うんです。

株主もいますから還元はしなければなりませんし、リターンも重要ですが、それと同じぐらい“意義”が大事だと思っています。「そんなきれいごとを言ってるとビジネスは成立しないよ」と言われるかもしれませんが、世界を見渡せば、我々の技術やそんなメンタリティを求めてくれる相手はまだまだたくさんいます。逆にリターンのことばかりに力点を置きすぎることで見えてこないこともありますからね。

あらゆる国の特性やニーズを踏まえた事業機会の追求。

これからは、世界的な脱カーボンの流れ、当社もエネルギー事業者の一つとして、しっかり対応していかなければならないと思っています。

具体的には、当社がこれまで開発してきたガス火力発電所を中心としたベース電源の開発・運転を続けるだけでなく、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーによる地球環境に優しい発電所の開発もより積極的に進めるとともに、エネルギーロスの少ない送電事業、加えて、水素などの次世代エネルギーの開発など新たな事業モデルも追求していく必要があると思っています。

地熱においては国内の地熱開発を通じて培った高度な地熱発電技術があります。インドネシアでは世界最大級の地熱発電プロジェクトに参画していますし、世界には我々が培った技術・経験を活かせる地熱の適地がたくさんあります。

新技術の開発を含め、将来的に状況が変わってくれば我々の戦略や方針も変わってくると思います。本当に様々な要素がありますし、これだけ変化も速く混沌とした状況においては、しっかりとそこに入り込んで一次情報を入手することが重要で、一次情報をどうとってくるか、入手したその情報をどう新たな開発につなげていくか、それに尽きます。

いずれにしても我々は先遣隊として注力しなければならない大事な時期ですから、今まで以上にアグレッシブに仲間を集めたいと考えています。

知識や経験、語学力以上に大事なもの。

キャリア採用は2020年から本格的に行っており、これまでに入社した社員は、電気事業とまったく縁のない業界から入社された方も多いです。それまでの会社での知識や経験は様々ですが、共通しているのは「経験のない分野の知識を身につけようとする前向きな姿勢」、「他者を尊重する姿勢」、「主体となって考え行動できる実行力」があること。

そしてやっぱりパッションですね。根底にある「なぜこの仕事をするのか?」「なにを成し遂げたいのか?」というところです。いや、もちろん知識や語学力も大事なんですよ(笑)。でもそれよりも何よりも根底に強いパッションがあるということが大事です。

例えば、前職が鉄鋼商社の社員は、入社当初はプロジェクトファイナンスという投資形態に対する経験が少ないことから、苦労した部分も多かったようです。しかし、持ち前の向上意欲と周囲に対するきめ細かな気配り、前職時代の経験を活かした改善提案など、半年かからずに職場の中心的な人物となって活躍してくれています。

100人規模の当社にとって、こうした1人の社員が会社組織に与える影響というのは想像以上に大きく、特に若い世代の社員にとって大きな刺激を与えてくれています。彼のような常に前向きにパッションを持って走れる仲間を増やしていきたいですし、そういう人たちが意義ややりがいを感じられる土壌・オポチュニティーは必ずあります。

今後、新たな事業分野への進出など、これまで以上に多様な価値観の方と一緒に仕事をすることで新たなイノベーションを巻き起こしていきたいですね。私は、仲間が増え、我々がやれることの可能性が拡がってきていることにワクワクしています。

編集後記

チーフコンサルタント
瀬川 泰明

九電グループにとってエネルギーサービス事業の進化や海外事業の収益拡大は一丁目一番地と言っても過言ではありません。それもあって、同社は「2030年に海外発電持分出力500万kWを達成」という非常にチャレンジングな目標を掲げています。

この高い目標を達成するためのアクションプランにおいては、専門性を持った人材が必要不可欠なはずです。ところが、インタビューの中で柚須社長が何度も口にされていたのは、知識や経験以上に大事なものはメンタリティであり、その中でもパッションであるということです。

「プロジェクトの成功に向けてひとつひとつ積み上げていく過程は息が詰まる局面も多々あるけれど、大きい視点で見るとワクワクしてくる」と、生き生きとした表情で目を輝かせながら語る柚須社長のパッションを存分に感じられるインタビューとなりました。

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