採用が経営を変えた瞬間 代表取締役 副頭取 永吉 健一氏

国内初のデジタルバンクが目指す
新しい銀行のカタチ。

株式会社みんなの銀行 / 代表取締役 副頭取 永吉 健一

Vol.105

株式会社みんなの銀行
代表取締役 副頭取 永吉 健一

福岡

1972年生まれ。九州大学 法学部卒業後、福岡銀行に入行。 経営企画部門に在籍し、地域金融機関の経営統合に向けた検討初期段階から、2007年のふくおかフィナンシャルグループ、その後のPMI(経営統合)業務に注力。その後10年間、企業ブランド戦略立案や地方創生プロジェクトに関わり、2016年4月には自らが企画し、iBankマーケティング株式会社を設立、代表取締役に就任。その後、ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社 取締役COO、みんなの銀行設立準備株式会社 取締役COOを歴任し、デジタルバンクの設立プロジェクトをリード。2020年12月、株式会社みんなの銀行が銀行業免許を取得し、同行 代表取締役副頭取に就任。“自分ではできない”が、サッカーをこよなく愛する。

更新日:2021年3月31日

みんなでつくる『みんなの銀行』

-前回、2019年11月のインタビュー(※)では、未来の銀行の在り方や「みんなの銀行」の構想、実現したい世界観などについてお伺いしました。それから日に日に注目度が高まっていく様子を拝見してきましたが、いよいよサービス開始、というところまできましたね。
(※)ページ下部『関連インタビュー』参照

そうですね。2020年12月に銀行業の営業免許を取得し、年明け1月にはシステム稼働を開始しました。そして5月下旬にはいよいよサービス開始となります。前回はまだ正式にお話しできない情報も多かったのですが、今回はより具体的に理解いただけるようにお話していきたいと思います。

まず、この『みんなの銀行』プロジェクトを始めた当初から、「今までのネット銀行と何が違うの?」ということは本当によく聞かれました。その都度きちんと説明してきましたので、今回もあらためてお伝えしますね(笑)。従来のネット銀行は、誤解を恐れずに端的に言えば「店舗を持っていない、“普通の”銀行」です。ネット銀行はお客様へのサービス提供機能等をオンライン化している一方で、その裏側の仕組み、具体的には商品やサービス、システム、業務プロセスは店舗を有する銀行と基本的に同じです。それに対して『みんなの銀行』はデジタルバンク。もちろん店舗は持ちませんが、それだけではなく、銀行としての一切合財を“すべて”、“ゼロから”、“デジタルで”構築しています。従来の銀行が持つ様々な制約を取り払い、ユーザーにスピーディーかつダイレクトに新しい価値を届けられるのが、このデジタルバンクの最大の特徴です。少子化によるマーケットの縮小や、非金融のプレイヤーを含めた新規参入によって競争が激化している事業環境の中で、いかに若い世代に対して価値を提供し、選ばれる存在になっていけるか。店舗による物理的な制約を受けず、デジタルネイティブ世代に親和性の高い「スマホ完結型」のサービスで、ユーザーの声を取り込みながら成長していく。それが、“みんなでつくる『みんなの銀行』”です。

デジタル時代における銀行の在り方を「再デザイン」「再定義」

-顧客行動や行動変容を敏感にキャッチアップするのが重要ということですね。

これまではすべてが“銀行発”、“銀行都合”になっていました。銀行が商品をつくり、商品ごとに手数料や金利を変える。銀行側の業務プロセスに則って、お客様が色々な手続きをする。これだと「勝手が悪い」「遅い」「煩わしい」という評価がどこまでも付いてきてしまいます。手間なく、スピーディーであること、つまり「フリクションレス」の徹底や、ユーザー起点で商品やサービスをつくる「ハイパーパーソナライズ」を追求することがデジタル時代の命題だと思います。

従来の銀行は三大業務(預金、融資、為替)をビジネスとして、その裏側にある三大機能(金融仲介、信用創造、決済)を果たすことにより価値を提供してきましたが、『みんなの銀行』はそこに最先端のDXを融合させて、ビジネスを「Re-Design(再デザイン)」し、機能そのものを「Re-Define(再定義)」しています。“銀行にしかできないこと”の優位性を最大限に発揮しながら、銀行とユーザーの双方向でコミュニケーションしながら共創していく。これが、新しい銀行のカタチです。

「B2C」と「BaaS」で、あらゆる人に新しい価値を提供

-具体的にはどんなサービスが提供されるのでしょうか。

『みんなの銀行』の事業ドメインは、B2C事業、つまり個人向け金融サービスと、BaaS事業、“Banking as a Service”として銀行機能を異業種に提供するサービスが軸になります。皆さんにはB2C事業の方がイメージしやすいかもしれません。例えば現在は銀行口座に振り込まれたお金をもとに、現金を引き出して支払ったり、スマホ決済やクレジットカード決済で支払いをしますよね。『みんなの銀行』では、口座から直接支払いができるようになります。「口座が財布代わりになる」というイメージです。『みんなの銀行』が提供するデジタルウォレット(=アプリ)さえ持っていれば、わざわざ現金やカード、さまざまな決済アプリといった“道具”を駆使しなくとも、日常のお金のやり取りや管理をスマホで手軽にできるようになるわけです。

加えて、その口座をつくるのも「フリクションレス」です。従来、口座をつくるには銀行の営業時間内、つまり平日の9時~15時の間で申し込みをしなければいけませんでした。最近では土日や営業時間外でも申し込みができる銀行も増えてきましたが、それでも、書類を郵送して本人確認を行い、キャッシュカードが手元に届いて実際に口座を使えるようになるまでには、少なくとも数日から1週間ほどかかるケースが大半です。これに対し『みんなの銀行』の口座は“24時間365日申し込み可能”で、かつ、“即時に開設が完了”します。そして口座開設と同時に、セブン銀行のATMを使って入出金できる機能や、Apple PayやGoogle Payに登録して非接触決済として使用できるバーチャルデビットカードもデジタルウォレットに備わるため、すぐにサービスが利用できるようになります。「口座をつくりたいな」と思ってから、最速でわずか8分後にはすべてが完結するのです。どうです?便利じゃないですか?(笑)

安心してご利用いただくために、セキュリティ面も担保しています。例えば、開設時に「なりすまし」等の不正を防ぐため、「eKYC」というオンライン本人確認方法を使って、ビデオチャットによるリアルタイムな本人確認を行っているほか、『ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社』が構築した次世代バンキングシステム「Zerobank Core Solution」においても、最新のテクノロジーを活用した高度なセキュリティを実現しています。


BaaS事業の方もいろんな構想があります。例えば企業が給与を支給する際、従業員のデジタルウォレットに振り込みを行う。そうすると従業員は現金を引き出して使うことはもちろん、デジタルウォレット内で貯蓄や少額投資といった金融サービスもダイレクトに利用できるようになります。いわゆる“デジタル払い”、キャッシュレス決済事業者を利用したサービスと違って、「ペイロールカード」を発行する資金移動業者を介しません。企業はあくまで銀行口座に直接振り込むため、「資金移動業者が破綻したらどうするのか」「セキュリティは担保されているのか」という懸念なく、利便性を高めることができます。

他にも、業種によって必要な機能を自由に選んで使ってもらうこともできます。例えば小売・流通系の企業であれば、売買の際にデジタルウォレットからダイレクトに引き落としができる決済サービス、旅行代理店やブライダル業であれば、旅行や結婚など目的に応じた積立ができる預金サービス、自動車ディーラーであればローンサービスといったように、ビジネスに応じた機能を導入できるというイメージです。これらの機能によってビジネスパートナーは本業の価値を高めるとともに、『みんなの銀行』が持つ金融データと各社が持つ購買情報などの非金融データを組み合わせることで、高度なマーケティングも可能になります。

また、API接続できる点も大きな特徴です。大規模なシステム開発の必要がなく、スピーディーかつ低コストで機能導入でき、導入後もサービスの追加や変更といった拡張性にも優れています。暮らしに溶け込んだ形で、金融と非金融が融合した利便性の高い顧客体験を提供できるようになるのです。
サービス開始に先駆けていろんな業界の多くの企業とコミュニケーションしていますが、反応は上々です。あらゆる可能性を模索しながら、シームレスでフリクションレスな世界を、ビジネスパートナーと一緒につくっていきたいと考えています。

多様なメンバーによる、前人未到のチャレンジ

-そういったサービスはどのように企画や開発を進めてきたのですか?

まず事業の立ち上げに向けて、外部から多様なメンバーを積極的に採用してきました。主には金融サービスの根幹となるシステムの開発を手掛けるシステムエンジニアですね。他にもデータサイエンティストやデザイナー、マーケター、ビジネス企画担当など、いろんな経験やスキルを持った方にジョインしてもらっています。現在は『みんなの銀行』と『ゼロバンク・デザインファクトリー』の両社に計100名強のメンバーがいるのですが、約4割は銀行出身者、残りの6割強をそういった多様なバックグラウンドを有するキャリア採用メンバーが占めており、体制としては目指している姿に近い形になってきました。

それから、バックグラウンドが異なるメンバーが集って、前人未到のチャレンジをしているわけですから、きちんと全員が同じ方向を向いて前に進んでいく必要があります。そこで採用と並行して強化してきたのが、私たちの志、つまり「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を明確にして、社内のすみずみまで浸透させることです。

『みんなの銀行』の“志”

-具体的に教えてもらえますでしょうか。

私たちの志、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は次のとおりです。

<ミッション>みんなに価値あるつながりを。
これまでの銀行が“お金のマッチングサービス”だったのに対して、『みんなの銀行』は“価値のコネクティビティサービス”を目指しています。人や企業、様々なコミュニティに対して、価値を仲介するプラットフォームになることが私たちの使命です。

<ビジョン>世の中のヒト、モノ、オカネ、情報 を「つなぐ」存在として、銀行というビジネスドメインの先にある「新しい金融機能」の提供を通じた新たな価値を創造する。
先ほど銀行の三大機能(金融仲介、信用創造、決済)についてお話しましたが、私たちはその機能を“価値仲介”、“信頼創造”、“決裁”の3つの「新しい金融機能」にRe-Define(再定義)しようとしています。ミッションを実現するために、新しい金融機能を提供することで価値を生み出す将来像を描いています。

<バリュー>【1】「銀行らしさ」からの脱却 【2】「ユニーク」へのこだわり 【3】「信じて、頼られる」
バリューはミッション・ビジョンを実現するために私たちが共通して持つ価値観です。銀行が銀行たる所以は守りながらも、ときにネガティブに捉えられがちな面での「銀行らしさ」から脱却する。非常識と言われようとも、銀行にとっての当たり前を打ち崩し、“銀行がやらないこと”を考えていきたい。そして、その“銀行がやらないこと”、他とは違う何かをカタチにするためにユニークへこだわる。銀行らしからぬ白黒のブランドカラー、オリジナルイラスト「Minna」シリーズなどはその象徴です。また、「信頼」、つまりお客様に対して、あるいは社内においても、信用ではなく、信頼を勝ち取るということ。「信用」は過去の実績や成果に対する評価のことを指しますが、「信頼」は、今、あるいは未来に対する期待にもとづきます。「信じて用いられる」だけでなく、「信じて頼られる」存在となることを大切にしています。

ミッションを頂点として、それを支えるビジョン、そしてビジョンを支えるバリューと、このピラミッドを全員が理解し、常に立ち返ることで、ここまで事業を形にしてきました。これからいよいよサービスが開始となり、次の事業フェーズへと移行するときには、このピラミッドをより強く、あるいは構造を変えながら、さらに強い組織を目指していきたいと考えています。

「みんな」はまだまだ必要

-現状、あるいは今後の採用についてはいかがでしょうか。

現状、つまりサービス開始に向けてという意味ではある程度体制が整っていますが、今後を考えるとまだまだ不足感があります。特にシステム開発においてはパートナー企業のリソースに頼っている部分も多いため、さらにエンジニアを採用して内製化を進めることが当面の目標です。また、これからサービスの提供が加速していくと、それらのプロジェクトを統括・推進していく人財や、デジタルな世界には不可欠な「データ」を扱う人財も必要です。事業や組織が拡大していけばリスクマネジメントやガバナンスといった機能も強化しなければいけません。そう考えると引き続き採用には積極的で、感覚的には、“あと100人ぐらいは必要かな”と思っているぐらいです(笑)。急激に組織が拡大するとハレーションが起きてしまうこともあるので、そのあたりは気を付けながら組織設計や人事設計を強化しています。
採用を含めた体制強化を続けながら、新しい銀行のカタチをみんなでつくっていきたいですね。

編集後記

前回のインタビューから早2年。いよいよ今年(2021年)の5月にサービスがスタートする『みんなの銀行』。社員数も約3倍になり、猛烈な勢いで組織が成長しています。変化することが難しい印象の銀行業界にあって、ここまで大胆にチャレンジしている企業は、世界を見渡しても珍しいのではないでしょうか。すでに福岡に縁がある方はもちろん、今後『みんなの銀行』のサービスを通して福岡との縁を持つ方が増え、やがて人口流入へと繋がる。そんなキーカンパニーになることを期待したいと思います。

文:リージョナルスタイル認定コンサルタント 植田 将嗣

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