ハードオフの経営理念はすべての原点
当社が常に大切にしているのは経営理念。ユニクロも理念経営でしたが、戻ってきてうちの会社の理念を知ったとき、これはすごいと思った。「1.社会のためになるか 2.お客様のためになるか 3.社員、スタッフのためになるか 4.会社のためになるか」という4つの条件を、1から4の優先順位で全てを満たす、というものなのですが、これはサウンド北越がつぶれそうになったとき、父が死にものぐるいで考え抜いたものだという話を聞いて、腹に落ちたんですね。新規プロジェクトをやるときにも、この経営理念に当てはめて考えると正しい方向に進みます。
フランチャイズ加盟店は全国に36社あるんですが、オーナーの皆さんはハードオフが儲かるビジネスモデルだからというより、この理念に共感したから加盟したと話すんです。うちのフランチャイズグループは「世界一のフランチャイズグループを作ろう」という話をしているくらい、本当に良い信頼関係が築かれているんですが、それは根底にこの「理念」があるから。それが無いと損得の関係だけになって、大きな壁があったら乗り越えられない。想いがひとつになっているので、壁があってもみんなで頑張ろう、と力を合わせることができています。フランチャイズを募集するときも、理念に共感していただけないところとは、どんな優良企業でも握手はしません。たとえ財務体質が厳しくても、リセットしてこの理念に共感してやっていきたい、という経営者とだけ一緒になってきている。それは社員の採用でも同じですね。
冒険心ある後輩の存在が、海外進出の道を拓いた
経営にインパクトを与えてくれた採用としては、いまアメリカの子会社の社長をしている山崎の存在があります。大学時代のテニスサークルの後輩なんですが、学生時代から仲がよくて、私が卒業するときには「アメリカのIMGアカデミーに道場やぶりに行くぞ」と誘って、山崎と一緒に卒業旅行に行ったんです。全米トップのジュニアと一緒に1週間テニスをするという、今考えるとよく行ったなと思うんですが。学生なのでお金が無いなりに工夫して、すごくいい旅でしたね。
その後、彼から就活の相談をされたときに、うちの会社に誘いました。新潟の店長やエリアマネージャーなどを務めてくれていましたが、2014年くらいに海外進出の話が出て、それを任せる人材は誰かいないか、と思ったときに浮かんだのが山崎でした。私がハワイから電話をして、「お前にやってほしい」と話したら、二つ返事で「はい」と言ってくれて、ハワイ店の立ち上げをして、いまはロスで立ち上げをしています。私と一緒にIMGに武者修行に行くくらいなので、冒険心にあふれている人物。彼がいなかったらアメリカの事業が今のように立ち上がっていただろうか、と思います。彼とは兄弟のように接していて、私の考えも分かっているし、ふたりで食事に行ってもハードオフの理念の話になる。いまアメリカは新型ウイルス禍で大変ななかで、本当に使命感を持ってやってくれています。