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北国の雪と向き合う、北海道発の総合特殊車両メーカー。

株式会社NICHIJO
代表取締役・執行役員 鈴木 隆好

北海道 更新日:2020年12月16日

北海道紋別郡興部町出身。1979年、旭川高専機械工学科卒業後、日本除雪機製作所(現・NICHIJO)に入社。エンジニアとして設計・開発部門を長く経験。営業、資材調達、管理業務も担い、2018年、代表取締役に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

北海道の冬を支える除雪機械メーカーに新卒入社。

私は酪農家の長男だったので、ずっと家業を継ぐのだろうと思っていましたが、父親から「継がなくてもいい!」と言われ、人生が一転しました。

幼いころから農機具に触れていて、機械に興味があったので旭川高専で機械工学を学び、学校の先生から「君に合っている会社」とすすめられて日本除雪機製作所(現・NICHIJO)に入社しました。 当社は鉄道用の除雪機関車から始まった歴史のある会社で、私が入社したころは、札幌オリンピックを契機として、道路用のロータリ除雪車の製作をメインにしていました。試行錯誤しながら図面を書き、試作を手掛けた入社当時の年月は、とにかく「楽しい!」日々でした。

ロータリ除雪車の新たな需要を生み出すことが命題。

入社当初は設計、そして2年目でロータリ除雪車の製作に関わり、エンジニアとしてやりがいのある楽しい時期を過ごしました。その当時はまだ地方にロータリ除雪車が普及していなかったのでとても忙しい毎日でした。

一方で、ロータリ除雪車以外の新しい需要を生み出すことが命題として課せられました。除雪機から産業機という流れです。1985年ごろにはゲレンデ整備車や凍結防止剤散布車などの製作も手がけるようになり、今では多様な特殊車両を取り扱っています。

年間わずか100日という降雪時の一定期間にだけ稼働する除雪車の需要は、安定しているとは言えません。営業力と技術品質で売り上げを伸ばせる製品を開発することは、当社にとって永遠の課題です。

制御系に強く新しい発想を持つエンジニアの活躍に期待。

当社の強みは、制御に特化したマイコンボードを自社で設計・開発していることです。私が入社した当時は、基板から設計していました。

必然として、制御系のエンジニアの活躍に期待しています。肝心かなめの重要な部分を自社で手掛けているのでクライアントからは、大きな信頼を寄せていただいています。現場でソフトの変更依頼や微調整があっても、エンジニアがタイムリーに対応できることが当社ならではの長所です。

自動車業界は自動運転の技術開発が進んでいますが、当社でも共同開発で自動化に向けた開発を推進してきました。そのほか、水素ガス利用、制御系AIの導入など、業界の動向を見据えて新しい技術を積極的に採用し、多様性のある分野に挑戦していきます。そのような状況下で必要としているのは、新しい発想を持った、学ぶ意欲のあるエンジニアです。

ユーザーの声に耳を傾け、サービスの付加価値を高める。

「常に現場の声に耳を傾け、ユーザーの需要に応える姿勢を大切にする」、その思いは変わりません。重量物運搬車、トンネル点検車、モノレール、製鉄所内を走る軌道車など、大手が参入しにくいニッチなジャンルで勝負して、付加価値の高い製品を提供しています。

さらに「モノからコトへ」という考え方にも注目しています。当社ではLCC(ライフサイクルコスト)準備室を作ってメーカーとしてこれから取り組むべきことを調べています。メーカーである以上、必然的にメンテナンスなどのアフターサービスの充実も課題で、商品以外のサービスという観点で市場を模索しています。

当社の長い歴史の中で変わることなく根付いている指針は、基本理念である「高い技術水準に基づいた優れた製品を顧客へ提供することを通じ、地域社会の生活環境の向上に貢献する」です。冬の厳寒期に積もった雪がきれいになると、気持ちが晴れ晴れしますよね。快適な生活を支える頼りになるインフラとして、社会的な貢献度が高く、使命感のある仕事だと自負しています。

機械、電気、制御に興味があり、作ることを楽しめる人材。

当社が求める人材は、「作ることが好き!」という人材。好きでなければ長続きしません。私も設計経験が長かったので、短期的に仕事が集中することもありました。それを乗り切れるのは、「作る楽しさを感じられる人」です。

そして受け継がれている社風は、「失敗してもいい。その失敗を糧にしていこう!」というもの。私も若い頃に作ったものを破棄するほどの大失敗をしました。でも先輩は、大笑い。「この失敗を糧に、もっと頑張れよ!」という、無言のメッセージだと受け取りました。

当社には「失敗に負けないでチャレンジしよう!」という気風が根付いています。とは言え、一通りの分野を経験し、一人前になるには10年くらいの年月が必要です。先進技術やAIの導入など、日々進化する状況の中、夢とやりがいを両立させて、楽しさを感じながら働いて、会社を担う存在になってほしいと思います。

編集後記

チーフコンサルタント
笹本 香菜

長年エンジニアとしてご経験を積まれ、プロパーとしては初の社長に就任された鈴木社長。インタビューでは、製品の写真や模型を指さしながら同社の技術について熱く語ってくださる姿が印象的でした。

創業以来、ロータリ除雪車でトップシェアの実績を誇る同社ですが、それは開発から製造まで一貫した生産体制の中で培った技術力があるからこそ。近年ではAI技術の導入にも積極的で、顧客のため、社会のため、理念にある“高い技術水準”を常に追求する姿勢が感じられます。また、社員に対しては、失敗を許容し、柔軟にチャレンジできる社風を大切にしておられ、「純粋にものづくりを楽しんでほしい」という鈴木社長ならではの思いが伝わるインタビューとなりました。

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