採用が経営を変えた瞬間 取締役社長 廣田 大輔氏

医薬品業界の新たな潮流をつかみ
富山発のグローバル企業に。

十全化学株式会社 / 取締役社長 廣田 大輔

Vol.29

十全化学株式会社
取締役社長 廣田 大輔

富山

1974年富山県富山市生まれ。1998年明治大学経営学部を卒業後、日本精工株式会社入社。2005年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学専攻を修了し、経営学修士を取得後、楽天株式会社に入社。楽天市場事業、銀行事業、国際部を経て、タイ子会社 TARAD Dot.com社 COOを務める。2015年十全化学株式会社入社、2016年専務取締役、2018年取締役社長に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

更新日:2018年9月19日

製薬会社の良きパートナーとして新薬開発をサポート

十全化学は富山に拠点を置いている、薬の有効成分である「原薬」及び「中間体」の製造受託メーカーです。変化と競争の激しい医薬品業界において、お客様である製薬会社様は選択と集中を進めていき、そのリソースを「創薬」に集中的に投入されています。その過程で、業界のバリューチェーンも大きく変化しています。従来、製薬企業は、研究開発から製造・販売まで一貫して手掛けられてきましたが、今は我々のようなパートナー企業に任せるところは任せて、強力なリレーションシップを築きながら、プロジェクトを推進しています。

その中で、我々が担う事業は大きく分けて二つあります。一つは、製薬会社様が上市(=新薬を市販品として発売すること)している医薬品原薬を製造し、安定的に供給する医薬品原薬製造受託事業です。もう一つは、製薬会社が開発中の原薬製造プロセスの検討及び治験薬製造等を行う医薬品開発支援事業です。医薬品開発支援事業の主な取り組みの一つとして、お客様である製薬会社様の研究開発段階の薬を対象にした工業化検討が挙げられます。薬の開発の初期は、基本的に数mgという少量のスケールで行われますが、いざ市場に供給する段階になると何十kg、何百kg、といった大きなスケールで製造しなければなりません。そうなると、製造に関わる諸条件は、大きく変わってしまいます。そこで、医薬品原薬を大量製造・供給する際の課題を解決し、より安全に低コストで製造するためのプロセスの開発に取り組んでいます。激動の医薬品業界の中で、お客様である製薬会社様の良きパートナーで在り続けるためには、当社の技術を磨き続けるのはもちろん、優秀な人材も広く求めていかなければなりません。

楽天でつかんだ経営ポリシーを手に富山へ

私は2015年に帰郷し、現会長である父が経営していた十全化学に入社しました。創業家の出身ではありますが、後を継ぐことはおぼろげにしか考えていませんでした。しかし、自身が就職した頃に城山三郎さんや高杉良さんなどの経済小説を読み漁った時期があり、そこから、「経営者によって会社は変わる」と知り、私自身が会社に変化を生み出すことのできる経営者になりたいと志すようになりました。その後、一念発起して、当時の仕事を辞めて、2003年にビジネススクールに入学しました。その後、2005年に楽天に入社しました。自分の力をストレッチして勝負出来る会社であるという考えからの企業選択でした。会社をダメにする経営者にだけはなりたくなかったからですね。楽天在籍の10年間は、本当にエキサイティングな経験をさせてもらいました。新サービス開発、買収した銀行への出向、海外への事業展開にも携わり、2013年からはタイ法人の社長に就任しました。

そして、冒頭にお話しした通り、2015年の40歳を迎えたときに十全化学に入社しました。自分が今まで学んだことを還元したいと考えてのことです。もちろん頭の片隅には常にこの会社のことがありましたが、「何かをやり遂げて、胸を張って経営に携わりたい」と考えていました。楽天でがむしゃらに働いた経験から、自分なりの経営ポリシーを持ち、ここに戻ってくることができたと思っています。

ローカルに住んでグローバルに働く。その環境を提供していきたい

当社の目標の一つとして、「富山発のグローバル企業になる」ことを掲げています。大都市部から富山での就職を考える方が少ない理由の一つとして、「富山にやりたい仕事が少ない」という点が、残念ながら挙げられると思います。そこに微力ながらも会社として貢献し、「自分がやりたいことをできる会社があるから富山に行くんだ」という人を増やしていきたいですね。

私自身のワークライフバランスを振り返ると、前職当時は川崎に住んでいて、職場のある六本木ヒルズまで1時間半かけて通勤していました。いつも終電に飛び乗って帰るので、家に着くのが夜中の1時半で、寝るのが2時半。そして翌朝7時半には家を出るという生活でした。通勤時間は1日3時間。1ヵ月だと60時間、1年間だと720時間にもなります。今、私の通勤時間は家から車で10分ほど。やりたい仕事が出来て、通勤ストレスもなく、家族とゆっくり過ごす時間もある。ゴルフも「今日晴れてるから行こうか」で行けてしまったりします。

たくさんの刺激がある大都市も良いと思いますが、地方には地方の暮らしやすさがある。その中で、当社であれば「地方に居ながらにしてグローバルに展開し、成長していく経験ができる」。そんな、魅力的な仕事ができる場所を提供していきたい。その方向性に共感いただける方がいらっしゃれば、どんどん参画してくれたら嬉しいですし、それが微力ながら地元への貢献にもつながるんじゃないかなと思っています。実際、県外から当社へ来てくれて、住んでみたら富山を気に入ってくれている方がたくさんいらっしゃるので、そういう話を聞くと出身者としてはとても嬉しく思います。

絶対解の無いビジネスの世界で、「仕事を愉しむ」

仕事にはペーパーテストのような絶対解はありません。その中で、“これが一番良い”という最適解を自ら導き出す必要があります。答えの無い世界で、主体的に“自分はこう考える”という意志を持ち、その実現のために率先して実践していくことが優秀なビジネスパーソンの必須スキルだと感じています。

また、私はよく社員のみなさんに「仕事を愉しむ」という話をしています。ただし、それは受け身の姿勢で、「愉しい仕事」を待ってれば、会社が望むものを与えてくれる、という意味ではありません。当事者意識を持ち、「こうしたらもっと良くなるはずだ」「自分がこうしたいから、それを実現するにはどうしたらよいか」と、自分の頭で考えて行動することで、本当の意味で仕事を愉しむことができると考えています。そして、仕事を愉しむことのできるメンバーがどんどん増えていけば、お客様に今まで以上の価値を提供できる会社になると思いますし、社外の方からは「こういう会社で働きたい」と思ってもらえるような魅力的な会社になれるんじゃないかと思っています。

会社の変革を加速する。組織課題を任せたキーパーソン

2018年2月に会社にインパクトを与える存在として、ある人物を幹部のひとりとして迎え入れました。ビジネススクールで共に学んだことがきっかけで、10年以上交流を続けてきた友人です。彼はビジネススクール卒業後に自動車会社に入社し、経営企画を中心としたキャリアを歩んできました。長年の付き合いから私は彼のことを「努力の天才」と感じており、当社の成長をさらにドライブするためには、彼のキャリアと人柄が絶対に必要だと思い、意を決してラブコールを送りました。彼は富山出身ではありませんし、ご家族もいるため、相当悩んだようでした。私も会社の状況を良い点・悪い点など洗いざらい打ち明け、その上で会社の目指す姿を語りました。その結果、本人もすべてを理解したうえで、会社の方向性と将来性に共鳴してもらい、入社してもらえることになりました。

彼が入社してまだ半年程度ですが、組織課題に対するアクションは私の想像以上であり、確実に会社に変化が起きていると感じています。例えば、彼の前職での経験を生かして、全体最適の視点からの収益管理を目標とした組織を立ち上げました。その新組織に若いメンバーを抜擢することで、新たな経験を積ませたり、製造や研究のメンバーにアカウンティングの研修を行ったりしています。これまで製造、研究一筋だった人たちに、「本当に利益が出ているのか」という収益性を意識させるわけです。そうすると思いのほか興味を持ってくれるんですね。この取り組みを通して得られた視点を各職場に持ち帰ってもらうことで、新たな展開が生まれることを期待しています。やがては、会社全体の視点に立って俯瞰してビジネスを考えることのできる人材が増えてきてくれるんじゃないかと楽しみにしています。彼が十全化学のメンバーに加わっていただいたことは、まさに会社を変えるきっかけになりました。

2022年にはグローバル展開への第一歩を。挑戦なくして成長なし

先ほどお話しをしたグローバル展開という目標は、まだまだ大きなものではありますが、2022年に第一歩を踏み出したいと思っています。私は楽天の社内公用語が英語になり、グローバル展開を加速させていくそのプロセスをこの目で見てきました。最初は私も英語は出来なかったのですが、そういう環境に放り込まれたおかげで、なんとかサバイブしようとスキルを身に着けてきましたし、それが自信にも繋がりました。このような経験から、人は追い込まれたときに見えない力が出るというか、もがき苦しむときにこそ大きく成長するのだという実感につながりました。繰り返しになりますが、グローバル展開というのは当社にとって本当に大きなチャレンジです。これまでお話しをしてきたマインドセットを私の言葉で、社員のみなさんや当社への入社を検討される方に伝え続けたいです。そして、当社の考え方に共鳴して、一緒の船に乗ってくれる仲間が増えていくことで、目的地へ向かうスピードはさらに加速するのではないかと考えています。

編集後記

気さくで飾らないお人柄でいつもにこやかな廣田社長。今回のインタビューでは、十全化学の海外展開とそこへのストーリーを語る姿がとても楽しそうで、あらためてとても魅力的な経営者だと惹きつけられました。医薬品業界の変化に伴って、重要な役割を担う原薬メーカー。大きく変化していく業界と共に進化するための核となるのは、人材。そしてその人材がきちんと変化・成長していく刺激を社内に用意されていることに感銘を受けました。十全化学の歴史ある強い財務基盤の上に、先陣を切って新たなことに挑戦する廣田社長、そして新しい人材が新しい風を入れていく同社の成長は今後も間違いなく続くと感じました。

文:リージョナルスタイル認定コンサルタント 腰本 延由

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