採用が経営を変えた瞬間 代表取締役 三輪寛氏

ITとモノづくりの両輪で東北から
世界に発信するビジネスを創る。

株式会社ワイヤードビーンズ / 代表取締役 三輪寛

Vol.43

株式会社ワイヤードビーンズ
代表取締役 三輪寛

宮城

1968年宮城県生まれ。2009年株式会社ワイヤードビーンズ設立。『生涯を添い遂げるグラス』2017年グッドデザイン賞ダブル受賞をはじめ、国内外での受賞歴多数。東北大学大学院地域イノベーションプロデューサー塾講師。東北から世界で戦えるIT事業の構築と、日本の職人の技をデザインとITを軸とした仕組みで復興させることを掲げている。

更新日:2017年12月6日

東北発の「光る会社」をつくる

東北で「光る会社」をつくりたいというのが創業以来の一貫した目標です。その背景には私自身のUターン体験があります。私は仙台で生まれ育ち、大学卒業後東京と上海で勤務していました。しかし30歳になるころ親の体調不良で仙台に戻らざるを得なくなりました。それ以前は東京の大手商社系IT企業で働いていたのですが、東北に戻り、あるIT企業の東北支社を任されることになりました。そこで感じたのは地元の人間としてのある種の寂しさです。支社というのはどうしても東京本社の都合に合わせて仕事をしなければなりません。地域に根差して仕事をするには、やはり東北に本社がある必要がある。しかし、東北には入社したいと思える光る会社が少ない。東北に光る会社があればどれだけの人が希望を持てるだろうかと思いました。その時にはもう、自分の会社を立ち上げることを決意していました。

ITとモノづくりの2つの事業を世界へ発信

当社にはITとモノづくりの2つの事業の柱があります。IT事業では楽天市場やグローバルブランドのeコマース構築パートナーとして開発実績を積み、現在はeコマースの世界最大手であるSalesforce Commerce Cloudの国内ローンチNo1、APAC地域においてもトップランナーとなっています。またモノづくり事業では、全国の職人の技術を活かした商品の開発をすすめ、洗練されたデザインの開発と、ITを軸とした「仕組み」を構築することで、職人の技や日本の文化・伝統の価値を再発見してもらうためのインフラをつくりあげようとしています。代表的商品の「生涯を添い遂げるグラス」は世界のデザイン賞受賞やTV・CMで使用されるなど国内外で高い評価を頂き、販売量も右肩上がりに伸びています。

ITを社会に対して正しく使っていく

IT業界は2000年代初頭、マネーゲームの対象となりました。いわゆるITバブルです。私はこの時、一人の人間として強い違和感を覚えました。ITを金儲けの手段ではなく社会に対して正しく使っていく、という思いを強くしたのです。東北に光る会社をつくるという思い、そしてITを正しく使うという思い、この2つの思いがあったからこそ、自分が創業するときに正しい事業ゴールの設定ができた。そのゴールがITを活用した日本の職人の技の復興であり、正しいゴールがあったからこそ、金融機関・大学・提携先・取引先・地域経済団体など幅広い支援をいただくことができ事業を前に進めてこられたのだと思います。

モノづくりの原点であるバイクレース

私にはモノづくりについて、ある原点があります。それは学生時代に熱中したバイクレースです。学生時代、私は真剣に世界のレースに出場することを目指していました。バイクの世界にはホンダやヤマハといった日本発の一流バイクメーカーがあって、日本の技術力のすばらしさについて身近に感じていました。そして、バイクレースで強く印象に残っていることがあります。それは「速い(良い)ものは美しい」ということ。速く走るマシンは例外なく美しいのです。当社は経営においてデザインを最重要視しています。モノづくりで世界を目指すと志向していること、国内最大手のインダストリアルデザイン企業と早期に提携したこと、世界のデザイン賞への取り組み、eコマース構築でのアーキテクチャの正しさ美しさ、それらすべてに、この体験が間違いなく活かされていると思います。

一人ひとりの採用が経営を変えていっている

当社の場合、誰かひとりというよりは、一人ひとりの社員が入るたびに経営が少しずつ階段を上るように進化していったという実感があります。ベンチャー企業にとって、大手企業で学んだ人材の加入は非常に大きな転機。本人にとっては何気ない知識やノウハウであっても、それが創業~成長期の会社にはとても大きな力になるのです。例えば、ある大手メーカーから社員が加入することで、材質・品質管理・量産化・販売の全ての面において水準を上げることができる。それは、その一人によるものということではなく、それまでに採用してきたすべての社員が蓄積してきたことが、一人の採用によってより価値を持つようになるというイメージです。その繰り返しが会社の成長そのもの。採用活動は100%イコール会社の成長と言っても過言ではありません。

東北から、名実ともに世界へ

2018年3月には新本社オフィスへの移転もしました。東北のIT企業では最大級の広さでデザインも拘りましたが、社員が働きやすい環境になったと思っています。また、2018年8月には、電通のインターネット広告子会社の電通デジタルと業務提携しています。これにより、ECサイトの構築段階から電通デジタルのノウハウを活用することで、ECサイトの開発からマーケティングまでのワンストップサービスを顧客に提供する事が出来るようになっています。またこの業務提携に合わせ、電通イノベーションパートナーズが運用する「電通デジタル投資事業有限責任組合」(電通デジタル・ファンド)などを引受先とする総額9300万円の株式譲渡と第三者割当増資を実施しています。2017年12月には経済産業省が選出する「地域未来牽引企業」に選出して頂きましたが、名実ともに、東北のIT発展の素地は整ってきたと思っています。是非、東北に帰ってきて私たちと一緒に世界に変えに行きましょう。

編集後記

同社は、15兆円規模で年20%成長していると言われる国内ITにおけるBtoCの領域のキープレイヤー。カテゴリTOPのグローバルブランドのWebショップ~CRMを多数手がけています。業務により培われた同社の「マルチブランド、マルチカントリー、マルチカレンシー(通貨)、マルチシッピング(物流)」のノウハウは国外からも評価され、Eコマースに留まらない、顧客のマーケティング施策の解決に資する企業として、活躍の場をグローバルに広がりつつあります。その実績もさることながら、、熱く、聴く側がひき込まれていく語り口からは「社会に対し正しくある」、そのぶれない軸に対する強い信念が迸ります。同社が創業期から様々なビジネスパートナーとの協力関係を獲得してきたのは、この三輪社長の信念と熱さがあってこそなのだと感じさせられた取材となりました。

文:リージョナルスタイル認定チーフコンサルタント 大石 豊

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