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福岡から世界レベルの新たな価値を創造する。

LINE Fukuoka株式会社
代表取締役社長 落合 紀貴

福岡 更新日:2017年5月17日

1974年生まれ。
2013年04月 LINE株式会社 執行役員に就任。人事・総務を統括。現職。
2013年11月 LINE Fukuoka株式会社 取締役に就任*。
2016年05月 LINE Fukuoka株式会社 代表取締役社長に就任*。
* LINE株式会社執行役員を兼任
※所属・役職等は取材時点のものです。

「LINE」の 国内第二拠点を福岡にした理由。

もともと、LINEの前身の会社の拠点が福岡にあったことから、IT分野で非常に活気がある都市であり、加えて若年層の割合も高いことは知っていました。そして東日本大震災が起きた後ということもあり、事業拠点の東京一極集中はリスクがあると考え、別都市に拠点を構える構想が浮かび、2013年11月に「LINE Fukuoka株式会社」を設立しました。

そのような経緯から現在「LINE」は、日本国内では東京にある「LINE株式会社」と「LINE Fukuoka株式会社」(以下LINE Fukuoka)の二拠点体制で運営しています。また、実際に「LINE」がグローバルサービスとしての認知が上がるにつれて、福岡はアジア各国との接点も持ちやすくビジネス的な面でもプラスな場所だということも改めて実感しています。

特に台湾やタイなどは「LINE」が圧倒的なシェアを持つ大きなマーケットですし、人の往来も盛んです。福岡から各国のブランチに出張することもあるので立地の面で優れていると感じます。

そのような地の利もあってか、LINE Fukuokaでは現在全社員のおよそ10%が外国籍社員でその出身国は13ヶ国以上とグローバルな環境を有しています。中にはまったく日本語のできない社員もいます。国籍や言語の壁を越えて、垣根なく互いを受容し合いながら、自然にチームワークが出来あがっています。そのような“多様性”を持った組織、良い循環を創れたのは、福岡という土地柄・オープンな人柄も一因として大きかったのではないかと感じています。

福岡での「LINE」としての価値。

設立から、現在におけるまで、まだ未完成の会社ではあると認識しています。これまでもメンバーの自発的な行動によって多くの事例、会社としての歴史を築きあげてきましたが、未だに様々なチャレンジを続けています。

例えば、設立当初、「LINE@え」というビジネス向けのサービスを活用した企画を考案。天神の飲食店様などに協賛いただいて人気メニューをワンコインで楽しめる「1COIN WALK福岡」というイベントを開催しました。元々、天神は賑わっている地域ですが、「LINEを使うという発想は面白そうだ」と参画していただける店舗が多く、50店舗程の飲食店の皆さんと共に福岡の街全体を巻き込んで盛り上げることができました。「LINE」を介しての新しい付加価値、「LINE」だからこそできる新しいサービスを、訪れる皆様に体感していただけたのではないかと思います。

地域・行政とも連携して社会へ新しい価値を提供していく。

地域・行政との取り組みとしては、2016年10月に福岡市とLINEとで情報発信強化に関する連携協定を締結して、2017年4月には福岡市のLINE公式アカウントを開設。防災や子育て、環境などの様々な分野からユーザーが欲しい情報を選び、リアルタイムで受け取ることができる仕組みになっています。

実は、LINEが政令指定都市と情報発信に関する協定を結ぶのは今回の福岡市が初の事例です。行政側もホームページで日頃役立つ情報を配信していますが、なかなか市民に届いていない、活用がされていないという課題があったと聞いています。そのような点からも、「LINE」を活用して市民の皆さんに情報を発信するという意義に、福岡市も共感してくれたのだと思います。

今後も福岡の街を盛り上げることや、市民の方の生活がより便利になるようなサービスを継続的に提供していきたいと考えています。

一つ上の目線、一歩前のめりで。

現在、LINE Fukuokaには開発・クリエイティブ・運営・企画の4つの機能があり、社員数は860名(2017年4月時点)と、設立当初の180名から約5倍の数になっています。会社の規模が大きくなってきましたので、運用・組織体制やマネジメントの仕方も変えていく必要がありますし、情報発信にもより一層力を入れていくフェーズだと考えています。

例えば、LINE Fukuokaはサービス運営の比重が大きい組織体制です。カスタマーサポート、サービスのモニタリング・審査、プロダクトに関連するQA・テストなど、ユーザーのリアルな意見を一番近くで聞いている立場でもあります。だからこそ、ユーザー目線で、「ここはこうするべきなんじゃないか」という意見を積極的に出すなど、“一つ上の目線”をもって業務にあたらなければ、サービスは良くなりません。

もちろん全部の意見が通るわけではないですが、当事者意識を持って、自分がどうしたいかという意志がある中でベストな方法を見つけていく必要があると思いますし、実際にそうした風土であると感じます。どの業務でも、「自分たちがより良いサービス、新しい価値を創り出していくんだ」というオーナーシップを持って、年次や階層に関わらず自分の軸・意見を持って発信していける人、自己成長していける人が、より活躍できる環境だと思います。

180度方向転換をさせることも厭わない組織とスピード感。

組織・カルチャーという面においては、様々なバックグラウンドを持つ多様性の高い組織ではありますが、最も重視しているのは、ユーザーが今求めていることに応えるための最短のルートを進むことです。もしユーザーが求めているものが違ったのであれば、途中で180度方向転換をすることも厭わないですし、必要だと思えば直ぐに変化させます。

分かりやすく言えば、サービスをリリースして、実際にユーザーに触ってもらい、その体感をもとに改良を加えていくというプロセスです。まず使っていただいてから判断しようというやり方でもあるので、一つひとつのアップデートがすごく早いサイクルで回ります。

この変化のタイミングをストレスに感じるか、エキサイティングだと捉えるかだと思いますが、このプロセスを続けたことが「LINE」の成長の要因だと思いますし、ひとつのカルチャーだとも感じます。こういった環境を素直に楽しい、チャンスがあると感じていただける人を求めています。

「LINE」は未完成。世界を見据えてチャレンジし続ける。

最後に、何億人というユーザーが触れる機会のあるサービスを、時にはゼロから創り上げていける経験はLINE Fukuokaだからこそ得られるものだと思います。日本や台湾、タイではトップシェアを獲得していますが、世界的にはまだまだ多くのライバル企業が存在していますし、「チャレンジャー」として挑めるステージも数多く存在します。

LINEが日米同時上場も行うなど世界的にも注目を集めるなかで、今以上に様々なことに挑戦をしていくためにも、LINE Fukuokaではキャリア人材や経営幹部・管理職の登用を積極的に行っています。「CLOSING THE DISTANCE」という当社ミッション、人と人の距離を近づけるという観点からも、当社で様々な仲間と働き、切磋琢磨しながら一緒に成長していきたいと考えています。

そうした、異なる経験・キャリアを持つ方々の新しい目線が加わることが、当社のさらなる成長の起点となり、変化をより加速させていくことに繋がればと期待しています。

編集後記

コンサルタント
植田 将嗣

福岡で落合社長にお話をお聞きしました。洗練されたオフィス、今やインフラとも言える誰でも知っている事業、行きかう様々な国出身の社員の方々、何もかもが新鮮でした。

そんなLINE Fukuokaを作っているのは、一握の優れた人材ではなく、一人ひとりの社員だとおっしゃいます。LINEグループの中で、最もユーザーに近いポジションの同社。ここにいる社員全員が常に新しい取り組みを続けていくことが、最も重要なミッションなのだそうです。

とても刺激的なお話をお聞きしながら「東京でなくとも、こんなに環境で働くことが出来る時代になったんだなぁ」と、しみじみと感じていました。今後もLINE Fukuokaから目が離せません。

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