転職成功者インタビュー

四国計測工業株式会社
伊藤拓真さん(仮名・研究開発) 35歳

家族と過ごす時間を増やしたい。解析スキルを強みに香川へのUターン転職に成功。

香川県出身で、兵庫県の大学で農学を学び、大学院に進んだ伊藤さん。「地球規模で環境問題に取り組みたい」という想いから、リチウムイオン電池開発の大手メーカーに就職した。

機構設計や解析業務を担い、部門全体の意識改革にチャレンジするなど、仕事にやりがいを見出していたものの、平日の帰宅時間は子どもが寝静まった後という生活が日常化していた。

そのような日々を過ごす最中、香川に住む父親が体調を崩したことをきっかけに「このままで良いのだろうか」と働き方の見直しを決意。プロジェクトの山場を乗り越えたタイミングで転職を考え始める。

「せっかく転職をするのであれば、新しい知識や技術を学べる環境に身を置きたい」という希望から転職先を探した伊藤さんは、香川の四国計測工業株式会社へのUターン転職を決意。現在は同社の研究開発職として活躍する伊藤さんに転職活動を振り返ってもらった。

※本記事の内容は、2024年3月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで65日間

転職前

業種
電気機器メーカー
職種
開発
業務内容
リチウムイオン電池の機構設計、開発

転職後

業種
電気制御機器メーカー
職種
研究開発
業務内容
熱輸送デバイスの研究開発

「かけがえのない家族と過ごす時間を見直したい」という想いから香川に戻ることを決意。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

四国計測工業の技術戦略部で研究開発に携わっています。技術戦略部は主に自社製品の新技術開発に携わる部門で、私のミッションは熱輸送デバイス向け装置の開発です。

熱輸送デバイスの用途は様々ですが、一言でいうと「温まりすぎると都合が悪いものを冷やす」際に用いられます。例えば、半導体素子のように発熱によって動作が不安定化するものに対して、冷却する目的で用いられることが多いですね。

また、熱輸送デバイスは電力事業向けだけではなく、一般産業用途でも使われているので、割と身近な製品でもあります。その中で前職で培った解析スキルを活かし、熱を扱う解析や流体を見る解析、強度解析なども行っています。

入社前のご経歴を教えてください。

出身は香川県ですが、高校卒業後に地元を離れて兵庫県の大学で農学を学び、最終的に大学院まで進みました。

就職活動では、「地球規模で環境問題に取り組みたい」という想いがあり、当時ガソリン車から電気自動車にシフトしていくという流れを見据えて、リチウムイオン電池のメーカーに就職しました。入社後はリチウムイオン電池の機構設計のほか、解析業務など幅広い業務に携わりました。

当時は解析結果に手戻りが多く発生しており、開発遅延が課題でした。そうした中で、開発の初期から開発モデルを組み、その解析結果をもとに設計を行うことでフロントローディングに寄与したいという想いが強くなりました。

特にリチウムイオン電池の開発では、物によっては解析しなければわからないことも少なくありません。メーカーとして単に開発するだけではなく、全体最適を図るために解析の重要性を伝え続けました。その結果、部門全体の意識に変化が生まれ、業務体制も徐々に変わっていきました。

転職のきっかけは?

仕事はとにかく忙しかったものの、解析の仕事内容自体は満足度も高く、やりがいをもって取り組んでいました。転職を考える大きなきっかけとなったのは父親が体調を崩してしまったことです。

その後、体調は回復したのですが、何かあったときにすぐに駆けつけられないことに不安を感じました。また、実家は兼業農家でしたので、高齢になるにつれ農業を続けるのも難しくなるとも思いました。

それからもう一つ、家族との時間を大切にしたいという理由もありました。前職ではどうしても残業をせざるを得ない環境で、職場と自宅の距離も離れていたので帰宅すると子どもたちはすでに寝静まっているような生活でした。

こうした状況から「このまま今の生活を続けていても良いのだろうか」と自問を繰り返すうちに、「香川に戻りたい」といった想いが日に日に強くなっていきました。

一方、仕事は常に何かしらのプロジェクトが続いているので、切れ目がなく、退職するタイミングを決めるのが難しい状況でした。

そうした中で、量産立ち上げのプロジェクトがあったのですが、顧客折衝など一番ハードな時期まで責任を持って対応しようと。プロジェクトを最後まで見守れないのは少し心残りでしたが、上司とも相談してそこを区切りとして転職を決意しました。

転職活動はどのように進めましたか?

一区切りはついたものの、相変わらず仕事が多忙だったこともあり、自分で転職サイトを見たり、応募したりといったことはなかなかできませんでした。

そのため、リージョナルキャリア香川にエントリーし、転職のサポートを受けることにしました。

今の会社に決めたポイントは?

リージョナルキャリア香川のコンサルタントに紹介されたのが、四国計測工業株式会社でした。四国計測工業のことは知らなかったのですが、ホームページを見たところ、本社と事業所の場所が実家の近くだったことには驚きました。

また、採用動画やDMなどを見て「面白そうだな」と感じたので、これも何かの縁だと思い、まずは面接を受けることにしました。面接の際に工場見学をさせてもらい、質問にも単刀直入に答えてくれたことが印象に残っています。

特に、自社の強みや弱み、どういったことに課題感を持っているかなども端的に聞けたので、考えがまとまっていることに感服しました。

なかなか自社の弱みを客観視して、なおかつそれを包み隠さず伝えることは容易ではないと思うのですが、そういった誠実さにも惹かれました。

また、仕事内容に関しても、前職の解析経験を活かせる部分があったので、その点は貢献できそうだと感じました。もちろん、新しく学ばないといけないこともありましたが、新しい知識や技術を習得することに好奇心を抱くタイプなので、その点は前向きでしたね。

時間を意識することで、家族関係と仕事のスキルアップの相乗効果が得られるように。

転職していかがですか?

入社前に聞いていた話から、ある程度は仕事のイメージができていたので、実際に入社してそこまで大きなズレはありませんでした。一つ挙げるとしたら、開発風土の違いにはギャップを感じました。

例えば、前職ではどちらかというと事業部寄りのポジションにいたので、利害関係者にあらかじめ根回しをしながら合意形成を図るといった調整業務がメインでした。

一方、四国計測工業では開発研究職として、純粋に開発や設計に対して向き合えています。

特に前職の場合は開発コストや納期などの要求が厳しく、社内調整に翻弄されていましたが、現在はそこまで気にしなくて良いですし、自由度が高い点が大きな違いです。

転職して良かったと思うことは?

職場環境に関しては、人間関係に恵まれているなと感じます。上司や先輩方はとても親切ですし、現在の職場は年齢が近い方や私と同じように中途入社の方も多いので、とても話しやすい環境です。

また、残業時間がほぼゼロなので、基本的に毎日定時で退社しています。転職してからは子どものお迎えが家庭内でのミッションになり、お迎え時間に間に合せないといけませんから、集中して業務を終わらせています。

そのおかげで、時間の使い方を意識するようになりました。仕事量が多い日は、早出をして定時までに仕事を終わらせるなど工夫をしています。

生活面の変化はありましたか?

保育園や学校に迎えに行ったり、帰宅後も遊んだりお風呂に入ったりするので、寝かしつけまで含めると子どもたちと過ごす時間がすごく長くなりました。

休日も家族と過ごすことがほとんどですが、高松市内で買い物をしたり、県内外のいろいろなところに連れて行ったりしています。

先日は高知県にある洋菓子屋さんにも行きました。四国は気軽に楽しめる場所がたくさんあるので、プライベートも充実しています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

私のように開発職の方は常にプロジェクトを抱え、転職を先送りしている方も多いと思います。しかし、もし今の生活に違和感を抱いている場合は、「今のままで良いのだろうか」と一度立ち止まって考えることをおすすめします。

どんなに重要な仕事を担っていたとしても、仕事の区切りは付けようと思えば付けられますし、仮に開発プロジェクトの途中で抜けることになったとしても、転職検討時期の半年前など、ある程度余裕を持って打ち明ければ、比較的理解は得られやすいと思います。

また転職先選びについては事前に情報収集をしたり、転職支援会社に相談したりすることで自分の条件に合った仕事先は見つかるはずです。

もちろん、今までの仕事の延長では通用しない部分や新しく覚えないといけない部分もあると思いますが、逆に新しい経験を身につけられるチャンスだと捉えて前向きに挑戦してみると、スキルアップできたり、見える世界が広がったりするかもしれません。

担当コンサルタントから

チーフコンサルタント 
溝渕 愛子

最初にご相談をいただいた時は、仕事へのやりがいや熱量を感じる一方で、ご家族との時間がなかなか持てていないことへの葛藤が伝わってきました。

忙しい日々の中での転職活動は大変だったと思いますが、Uターン後の働き方や技術者としてのキャリアのイメージをお持ちいただけるように、伊藤さんの価値観、本音を理解したいと慎重にお話をお聞かせいただいた日々のことが思い出されます。

今回のインタビューでご家族との時間を大切にできていることや自由度の高い風土で開発に集中できているというお話を伺えて、私も大変嬉しい気持ちになりました。

また当時、伊藤さんの強みである解析のご経験が活かせるポジションを見出してくださった四国計測工業社にも心から感謝しています。

独創的な製品を次々と生み出している同社から、次はどんな新たな製品が生まれるのか、そして新技術開発に携わっている伊藤さんがどのように貢献されるのか、楽しみでなりません。

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