企業TOPインタビュー

スノーピーク・パーソンとして、お客さまの幸せのために僕たちは動く。

株式会社スノーピーク
執行役員 人事管理本部長 CHO 青栁 克紀

新潟 更新日:2019年6月05日

2008年株式会社スノーピーク入社。直営店店長、小売部門のシニアマネジャーなどを経て、2018年1月執行役員社長室長、2019年1月より現職。
※所属・役職等は取材時点のものです。

欲しいものが無ければ自分たちで作る。そこが原点。

スノーピークは先代の山井幸雄が金物問屋として創業しました。趣味が谷川岳登山で、当時満足できる登山道具が無いからと自分で作り始め、これがスノーピークのものづくりに繋がっています。

現在メインとなっているオートキャンプのビジネスは、2代目の山井太が始めました。東京でアウトドアブームの兆しを感じながら地元に帰り、燕三条の職人さんたちの力を借りて、世界に発信するものを作ってきました。オートキャンプを通して、自然とのつながりや、自然の中で暮らすことで得られる価値、僕たちは「人間性の回復」と呼んでいますが、それを伝えるビジネスを幅広く展開しています。

最初のオートキャンプブームで売上が伸びた後、10年ぐらい業績が下降し、そこから回復していくのですが、回復して再び成長期に入った頃に僕は入社しました。問屋への卸売りは止めて、直営店舗やインストア店舗(卸先店舗内に自社スタッフを配置する形態)で自社スタッフがエンドユーザーに直接モノを届けるスタイルを拡大していた時期ですね。

僕は群馬のインストア店舗に配属されて、そこに3年いました。毎年すごい勢いで店舗数が増えていて、直営店舗の二子玉川店に異動してからは店長をやりながら、直営店舗の新店立ち上げのプロジェクトに携わりました。その後、店舗部門60店舗を見る統括シニアマネージャー、店舗開発、アパレル店の立ち上げ、GINZA SIXのスノーピークモバイルなどを担当し、社長室長を経て、いま人事管理本部長です。この5年くらいは1年ごとに役職や業務が変わっています。スノーピークではよくあることです(笑)。

全ての社員がユーザー目線であり続けるために、最前線を経験する。

実際、営業の人間が人事に来たり、バックオフィスの人間が店舗に行くという異動はよくあります。営業も、人事も、経理も、何のために仕事をしているかというと、僕らが提供している製品やサービスをご愛顧いただいているユーザーさまの幸せのために働いています。もっと言えば、そのお客さまの人間性の回復を少しでもお手伝いするために僕らは働いていて、その誰のために、何のために、というのが分かった上で仕事をしないとやっぱりだめだ、というのが会社の文化としてあるんです。

例えば、人事担当者は、ともすれば労務のルールを守らせたり、残業させないようにということが自分の仕事と思いがちです。でも本来は、営業スタッフの残業を無くして、彼らがもっと野遊びやキャンプに行ける時間、また家族といる時間を作ることで、より仕事を充実させてもらったり、ややこしい業務を簡略化して接客に使う時間を増やしたりすることが役割なんです。

それを知ってもらうためには、やはり店舗の経験が必要になってくる。店舗に行けない人はイベントに参加して、ユーザーとの接点の最前線に立って、そこで感じたことを自分の仕事にちゃんと活かす。そのために、ジョブローテーションがよく行われる。全てはユーザーさまの幸せのためです。

社員はスノーピーカー以上のファンでなければ。

僕らは「The Snow Peak Way」(※スノーピーク社のミッションステートメント)に書かれていることをみんな信じていますし、それを実現するために働いています。山井社長はよく「ミッションステートメントはコンパスであり、真北の方角だ」と話します。仕事で迷う場面があったら、ミッションステートメントに沿ってA案とB案のどちらが正しいだろうと考えて、どちらも間違っていたならC案を出す。すべての仕事が、そういうやり方です。

スノーピークという会社はちょっと変な集団に見られるかもしれませんが(笑)、ユーザーさまも「スノーピーカー」と呼ばれるような熱狂的なファンで居てくださる方がおられますので、それを紡ぎ出す僕らは、もっとスノーピークのファンでなければいけないと思っています。

社員みんながスノーピーク・パーソンに育ってほしい。

当社が採用の際に第一優先にしているのが、キャンパーであること。ユーザーさまを幸せにするためには、まず自分たちがキャンパーでなければいけないと考えています。そして、キャンパーがキャンプ仲間を作るように、ユーザーさまを増やしていく、というのが僕たちの仕事のやり方なので、スキルだけを優先させると、そうした僕らのカルチャーに馴染まないと感じています。

会社としては、社員みんなにスノーピーク・パーソンに成長してほしいと期待しています。スノーピーク・パーソンというのは、アウトドア・パーソンであり、クリエイティブ・パーソンであること。アウトドア・パーソンというのは、キャンプをやる人という意味もあるんですが、日常の変化に対応できる人という意味合いが強いですね。クリエイティブ・パーソンは、日常的にやっている仕事を当たり前と思わないで、生産性を高めたり、不具合を解消するために、発想を変えて考えられる人を指しています。このふたつを重ね合わせると、スノーピーク・パーソンになる訳です。

キャンパーを前提にした採用になったのは、スノーピーク・パーソンになってもらえる人を採用するためには、アウトドア・パーソンとクリエイティブ・パーソンという要素が必要なのだと気付いてからのことです。社内の人たちにはこの要素を身に着けてもらい、採用はこの要素が身に付く人、もしくはすでに身についている人を採りましょうという方針になりました。

社内業務システムをスノーピークらしい環境に変えた人物は元ユーザー。

現在、当社のビジネスイノベーション部門の本部長で取締役をしている村瀬は、もともとはユーザーだった人物です。システムコンサルの会社を経営していて、人材育成の研修メニューにキャンプを取り入れていました。そこで使うために選んだ道具がうちの商品だったんです。村瀬がイベントで社長の山井に「会社のキャンプでは社員全員で経営ビジョンを考えたりしています」と話したところ、「それは面白いね。一緒に会社作ろうよ」と山井が提案したことがきっかけで、株式会社スノーピークビジネスソリューションズを立ち上げることになり、その2年後には村瀬の会社も合併したんです。

それだけでもインパクトがあるのですが、アウトドア・パーソンであり、クリエイティブ・パーソンで、システムに長けている村瀬が当社へ入ってくれたことで、システム的な仕事をスノーピークらしい仕事に変えてくれました。それが最近の会社にとっては大きな出来事ですね。必要なシステム内容を見極めてくれるので、経営面でも影響が大きいです。

キャンプで出会う子どもたちが将来の同僚になるかもしれない。

社内の管理者研修でも、スノーピークビジネスソリューションズが展開しているアウトドアオフィスを取り入れています。夕方集合で焚火を囲んで、人としてとか、時代背景的にキャンプとか人間性の回復とかを謳っている僕らが、ありがたいことに、多くの方々に共感いただき、支持いただいているのか、といったことを「なぜ?」と掘り下げていく本質的な話し合いをします。

何が狙いかというと、気づける人間を育てたいんです。上司として部下を育成したり、マネジメントするって、結局は部下の細かな変化に気づけるかどうかが一番大きいと考えています。まず自分自身のことに気づき、そして相手のことに対して気づけるようになることを、アウトドア要素を入れた研修で身に付けてもらえることを期待しています。

会社はまだまだ成長していきたいと強く思っています。そして、採用は一緒に働きたい仲間を集めていきたいのです。実は採用には、社員がキャンプ仲間を紹介するというプログラムもあるんですね。僕が考える究極の採用は、サッカーのFCバルセロナ。世界中から少年を集めて育てていくあのやり方が、スノーピークならできると思っているんです。幼児や小学生向け、中高生向け、大学生向けにサマーキャンプ、セミナーキャンプなどを体験してもらって、いざ就職活動になったら第一志望はスノーピーク、という人が何人か出てくれば、そんなに嬉しいことはないですよね。

今も「スノーピークウェイ」というキャンプイベントに、親に連れられて参加した経験を持つ社員が5人ほどいます。父親がスノーピークの道具を使っていました、という社員なら10人以上いますね。普通にお客さまを作っていくなかで、自然と当社に入りたい子どもたちが育っていくという流れができたら、僕らも彼らも長期で検討できるし、理想であり究極だと思っています。

編集後記

コンサルタント
皆川 暁洋

スノーピークの勢いが感じられる、非常に熱い想いに満ちたインタビューでした。徹頭徹尾、社員のみなさんはスノーピーク・パーソンであること、あろうとすることが求められおり、それが同社のユーザーにもイベントや店頭などを通じて伝わり、熱のあるコミュニティが生まれているのだと実感しました。これが同社の強みであり、他社にはなかなか真似のできない素晴らしい経営戦略だと感じました。

青栁執行役員がおっしゃる人材の採用を続けていけば、同社が益々強固なブランドを構築していくであろうことを確信しました。

関連情報

株式会社スノーピーク 求人情報

株式会社スノーピーク 転職成功者インタビュー

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る