採用が経営を変えた瞬間 代表取締役専務 福田大輔氏

「気づき、感度が高い」人材が
新しいビジネスチャンスを切り拓く

株式会社福田商会 / 代表取締役専務 福田大輔

Vol.53

株式会社福田商会
代表取締役専務 福田大輔

宮城

1976年宮城県仙台市生まれ。東北大学経済学部卒業後、東京で都市銀行に勤務。26歳のとき、明治19年から続く「株式会社福田商会」を継ぐため、仙台に戻る。2008年に販売部門を担う子会社「フクダ物産株式会社」の代表取締役社長に就任、2017年に「株式会社福田商会」の代表取締役専務に就任、現在に至る。

時代が求める事業を展開。

株式会社福田商会は、明治19年に肥料商として始まった会社です。現在は、有機質肥料や化学肥料、セメント、精麦や精米、不動産業、ホテル業などを行っています。業種は多岐にわたりますが、単に多角化したというわけではなく、その時代に、目の前のお客さまが何を求めているかを考えた結果、現在のような事業形態になりました。例えば、土壌改良材を求めるお客さまが工事でセメントを使うことが多ければセメントを提案し、肥料を販売したお客様が生産した麦や米の流通が必要ならその手伝いを、という具合です。ホテルの経営も不動産の活用の一環で始め、ホテルレストランでは既存取引農家が収穫した新鮮な野菜の提供などを行っています。業種が多岐にわたっているからこそ、おもしろいアイディアやつながりを提供できるのが強みです。

ニーズを掘り起こし、付加価値をつける。

ただ、会社の根幹は、やはり「卸売業」であると考えています。近年、卸売りを省いて生産者が直接消費者とつながるメルカリのようなCtoCの販売形態も盛んになっています。先日は新聞に「一億総商人時代」という記事が載っていました。そういった時代に私たち「卸売業」が生き残っていくには、モノに付加価値をつけていく必要があります。また、顕在化しているニーズに対してだけでなく、潜在的なニーズも掘り起こす必要があると考えています。

例えば、私たちは10年ほど前から「国産飼料用米」の契約栽培に取り組んでいます。これは、耕作放棄地や休耕田を活用できるのではないか、という視点から始まった取り組みです。今でこそ国産飼料用米が一般的になってきましたが、その頃は、水稲の農家さんからは「どうして飼料用の米を作らないといけないんだ」と、そして畜産の農家さんからは「なんでわざわざ国産?」と言われました。でも、実際やってみると田んぼの有効活用にもつながりますし、畜産の農家さんからすると、半径数十キロの範囲内で生産している国産の方が安心でき、外国産より安定した価格で入手できる。食糧自給率の観点からも社会貢献につながる取り組みということで、日本商工会議所青年部主催のビジネスプランコンテストのグランプリを頂戴し、各方面からもサポートを受けられるようになりました。

「言葉を変換できる」人材を育てる。

潜在的なニーズを掘り起こすために必要なことは、アンテナをはることだと思っています。「最近人材が足りなくて」というお客さまの言葉一つとっても、「そうなんですね」で終わってしまうのではなく、「どういう人材が足りないんですか?幹部ですか?」という受け取り方ができれば、「あの会社にとっての幹部の役割ってなんだろう」と考えて、当社でできるアプローチやお手伝いの仕方を模索することができる。そういう、一見自分に関係のない言葉でも、自分はどう関われるか、と変換できる人たちと仕事をしていきたいと考えています。

中小企業にとっては「人」がすべてです。材料の「材」ではなく、財産の「財」で「人財」を考えなければいけないと思います。優秀なスタッフがいれば、お客さまからの評価も高まります。私が代表に就任してからは、社員一人ひとりの意識を育てていくために、社員を社外の研修に参加させたり、全体会議の時にプレゼンやディスカッションを行ったりするようになりました。以前と比べると、皆、変化を柔軟に捉え、前向きに動けるようになったように思います。これからは、現場からのボトムアップで事業が動く時代です。スタッフ自身が考え、提案できるような体制にしていきたいと考えています。

右腕の採用で、事業のスピード感がアップ。

最近では中途採用も積極的に行っています。そのなかで、大きな転換になったと感じる採用が、私の「右腕」の採用でした。以前から、私と同じ方向を向いて会社を動かしてくれる人を探していたのですが、3年ほど前にリージョンズさんの紹介で、一人採用することができました。もともと仙台出身で、東京やアメリカで仕事をしていた人です。仙台にUターンしてくれたというかたちですね。一緒に仕事をしはじめて、業務のスピード感がかなり増したように感じています。また、様々な事業部の情報を横断的に吸い上げてくれるのも助かっています。判断材料が増え、決裁が楽になり、現場もいいかたちで動いてくれるようになりました。

これからの時代に必要なのは「気づき」がある人だと思います。お客さまの表情や経営の仕方など、ちょっとしたことに気づいて、提案していく人が大切になってきます。AIが発達しても、そういった「感度が高い人」「気づきを自分の言葉に変換できる人」は、人間として強い。そんなメンバーが集まるような会社にしたいと思いますし、スタッフだから、社長だからという関係抜きに、お互いに切磋琢磨して成長できる会社になっていけたらと思います。

編集後記

福田専務は同世代で最も尊敬する経営者のひとりです。日ごろから様々な場面で親しく接点を持たせていただいていましたが、今回のインタビューを通じ、事業や人に対する真摯な姿勢をあらためてお聞かせいただきました。老舗企業の7代目経営者として、時代の変化の中で、ぶれない軸を持つことと、一方で変わり続けることの両面が必要で、特に「新しい商社のカタチ」を目指されるという言葉が印象的でした。情報化社会やAIがどれだけ発展しようとも、人にしか発揮できない介在価値があり、だからこそ採用や人材育成に力を入れ会社を変えていこうとしている福田専務のお話から、人材に対する熱い思いを感じました。東北の次世代を支える経営者としてますますのご活躍を願っております。

文:リージョナルスタイル認定チーフコンサルタント 大石 豊

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