採用が経営を変えた瞬間 代表取締役社長 富山浩樹氏

ドラッグストアのその先へ

サツドラホールディングス株式会社 / 代表取締役社長 富山浩樹

Vol.16

サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長 富山浩樹

北海道

1976年9月5日生まれ(40歳)。
北海道札幌市出身。札幌大学経営学部卒業。99年4月ダイカ株式会社(現株式会社あらた)入社、2007年10月株式会社サッポロドラッグストアー入社。09年10月業務改革推進室長、10年4月営業本部長、11年5月取締役、12年5月常務取締役、15年5月代表取締役社長、16年8月サツドラホールディングス株式会社設立、代表取締役社長就任。

ホールディングスを作った背景と今後の戦略

当社は1972年、スーパーマーケットの一角、わずか15坪の小さな薬店から始まりました。業界・顧客ニーズの変化に応え続け、薬店からドラッグストアへと進化して参りました。私たちがいま目指しているのは、お客さまの暮らしになくてはならない「生活インフラ企業」になること。サツドラというリアルな店舗ネットワークを活用して地域をつなぐプラットフォームをつくるためにカード事業などを展開する株式会社リージョナルマーケティングを2013年に新たに設立、2015年には新電力にも取り組み始めています。こうしたグループ全体の価値を飛躍させるために2016年8月16日に純粋持ち株会社「株式会社サツドラホールディングス」を設立しました。ドラッグストア「サツドラ」、カード「EZOCA」、「調剤薬局」、新電力「エゾデン」、健康に関する健康食品・医薬品メーカー「Wellness Navi」といったグループに新たに加えた事業が目的にあわせてスピーディーかつ柔軟に連携しシナジーを発揮することを目指しています。

 

数年前から出店は加速していましたが、このところはインバウンド向けの店舗が新たな出店の仕方として増えてきました。有名な観光地である阿寒湖にも出しました。ここは通常のドラッグストアでは成り立たない場所です。そこでインバウンドを意識した売り場をミックスし、店舗面積は30坪と北海道内の地域密着型店舗とは異なる形態をとっています。登別温泉にも2店舗出しています。インバウンド(宿泊客)という意味では凄い人数が来ています。函館地区と変わらないくらい来ています。また同じ戦略で沖縄にも出店しました。ここ数年のアジアからの観光客ブームもあり当社では商圏の見方がまるで変わってきています。いち早く押さえにかかったという意味ではスピードが上がっていると言えます。

3つの成長戦略

一つ目は「強固なリージョナル・チェーンづくり」です。ドラッグストア事業を核に地域密着型店舗で北海道内でのドミナント化を進めます。当社ではそうした地域密着型店舗を「生活密着のヘルス&ビューティーを核とした「生活便利ストア」」と呼び、これを小商圏(人口が少ない地域)でも成り立つお店にして展開していきます。また店舗名もサッポロドラッグストアーからサツドラへ名称変更するとともにデザイン性も追求、サツドラブランディングを推進します。ドラッグストア業界内での差別化は図りにくく、お客さまが競合店のチラシを見て来店され「何で値段が下がってないのか」と言われることもしばしばです。こうしたことからサツドラという個として見てご来店いただけるように、差別化を進めます。北海道内の人口は減っていきますが人口が減っても成り立つモデルで、しかもドラッグ対ドラッグというよりはコンビニとかスーパーとかホームセンターとか専門店などすべてが競合の中でわれわれの立ち位置はどうあるべきかを追求していきたいと思います。

 

二つ目は「リージョナル・プラットフォームづくり」です。2013年「EZOCA」という北海道発の共通ポイントカード事業をスタートしました。もともとの当社のカード会員様を中心に進めたこともありお蔭様で会員数はすでに130万人を超え、会員企業も80社以上となっています。ナショナルカードの考え方ではできない地域密着だからこそできるプラットフォームづくりをやりたいと考えています。昨今では新電力会社株式会社エゾデンも設立、これもリージョナル・プラットフォームづくりの一環です。地域密着ということでお客さまとの接点を増やし利便性を高めていく。小売に囚われず事業を拡大していこうと考えています。この一番目と二番目のリージョナルのチェーンストアとして北海道内でシェアを伸ばすとともに小売を軸としたプラットフォームを作ることで“北海道の深堀り”をしていきます。

 

三番目が「アジアン・グローバルへの発信」。我々ドラッグストアとしての強み、さらに北海道ブランドを持っているという強みをサツドラブランド、北海道ブランドとして確立していきたい。日本の人口は減りますが世界人口は増えていきますのでその中でもアジアマーケットをこの二つのブランドで狙っていきたいと考えています。沖縄に出すのも他のアジアの国に出店していくのも北海道から見ると外に出て行くという意味で同じです。アンテナショップを作りブランド力を高めお客さまを集客する。地域密着のドラッグストアは北海道内を深堀りですが、海外や道外の顧客獲得という点であればまた違った成長戦略、出店戦略でいきたいと思います。

コンセプトはリテール×マーケティング

弊社はチェーンストアを持っている強みを活かすことで拡げられる事業の幅があると思っています。一方カード事業エゾカはサツドラという店舗基盤がお客さまの近いことで事業ができる。接点が多いので梃子の原理で増やしていけますのでそうした強みを活かしていきたいと思っています。私は一番お客さまと接点がある小売自体がマーケティングしていかないといけないと思っています。日本の小売業界ではマーケティングという発想はまだ弱いと思っています。ナショナルブランド(以下NB)を売らせてもらっているというのが現状です。当然NBメーカーはマーケティング発想ですが小売はあくまでそれをどう売っていくかというところに留まっています。弊社もプライベートブランド(以下PB)を別会社で作り始めていますが、商品を作る側から使う側へと一気通貫で考えてみたときにメーカーだけでも、小売だけでもできないマーケティングの質を高めていきたいと思っています。

 

もともと小売りはモノを仕入れて売るといういわゆる売買差益で儲けるというシンプルなビジネスです。お客さまが本当にそれを求めているモノなのかどうなのかというところをもうちょっと深堀りしなければいけないと思っています。昨今はテクノロジーの進化によってマーケティングの手法自体も変化していますのでそうしたものもきちんと捉えてやっていきたい。ものづくりもマーケティングもプロモーションも今現在でもSNSから火がついてヒットした商品がたくさん生まれてますし、そうしたアプローチは今後も変わっていきます。

 

お隣の中国で若者に大人気の日本人「山下智博」さんを起用したプロモーションも手前味噌ながら新たな手法だと思っています。山下さんのコラボPB商品も作りました、洒落みたいな商品ですがやはりチェーンストアを持っているからできるマーケティング発想なのです。今までの小売りだけだったらあれが実現するかといったらそうではなく、そもそも中国の若者にはどういう所がミートしているかという情報がなければできてないことなのです。余談ですが採用面接で来た中国の学生が面接で「あの“山下”でやっているんですか!」と感動していました。

 

健康食品でも今までのPBってNBの商品があってそれをどうやって安くするかということだったのですがお客さまにどういう悩みがありそこにどうやって商品をあてていこうかと商品もパッケージデザインも最初からお客さまとの接点である売り場が前提なのです。売り場でどうやっていくかを前提に商品開発していく。ナショナルメーカーがNBのパッケージデザインを考えたときに売り場でどう並ぶかというところまではコントロールできていません。棚にどう並ぶかをコントロールできないので競合品の中で目立たないといけない、お客さまにより主張するデザインでないといけないという商品開発、パッケージ開発に留まっているのです。でも最初から売り場をコントロールできるとこのデザインでいいとなる、まさに小売りがあるからできる事業なのです。同様にカードやエゾデンといった事業は顧客に近づく、マーケティング能力を高めていくための取り組みなのです。

幅の広がり

リージョナルマーケティングがサッカーJ2のコンサドーレ札幌とコンシューマーマーケティング契約業務提携を締結しました。カード「コンサドーレEZOCA」を利用した買物の0.5%が北海道コンサドーレ札幌へ還元されるスキームです。「コンサドーレEZOCA」はEZOCA共通お買物券5,000円分プレゼントやカードに3,000円チャージするともれなく300円分のプレミアを付与するなどして会員を増強します。サツドラのお客さまを俄かコンサドーレファンにすることでコンサドーレの課題である若年層のファンの増強につなげることができます。さらに来場ポイントをつけているのでどの客層が何回試合に来たか何回来なかったかがわかります。また提携店でどんな買い物したかもわかります。このデータをもとにメーカーを巻き込み商品作りをしています。北海道限定ビールのクラシックを「サッポロ クラシック EZOCAコンサドーレ応援缶」としてサッポロビールさんから出しました。1缶お買い上げされるごとにリージョナルマーケティングから1円がコンサドーレ札幌に寄付され、さらにコンサドーレEZOCAをお会計時に利用すると、プラス1円が寄付される。このようにお客さまを動かそうと考えたときにいろいろな点から膨らますことが可能になっています。

 

サツドラだけではいままでやらなかった施策がどんどん増えていっています。サツドラには来ていなかったけれどもコンサドーレのファンという人も来ています。最近ではナショナルブランドからの相談案件が増えています。ナショナルでも、ローカルでもない北海道というリージョナルという括りで何かマーケティングや商売をやろうとした時にリージョナルマーケティングに声がかかるという状態にしたいと思っています。

今後について

2020年までに1000億円経常利益30億円を目指します。そこが最低限小売りの生き残りのラインだと考えています。小売業が皆そうであるように弊社も生活者の暮らしを変えていくことがその役割です。人材というところでは多様性というものが大事になってくると思います。ホールディングスにした目的の一つは人材です。世の中が大きく変わり事業も多岐に渡るなかで、多様性ある組織にしたい、いろんな方が集まってくる形態にしたいと思います。文化もそうですし経営形態としてもそうありたいです。リージョナルマーケティングや電力の会社などを始めたことで従来の小売りだけでなかなかは集まらなかった人材が入ることで双方にシナジーがでると思っています。北海道にもこんなグループがあるということをPRしていき、どんどん多様な人が集まってくる事業体にしていきたいです。

 

会社ってホールディングス作って益々思ったのですが、やはり会社は所詮ハコということです。何をやっていて、どういう人がいて、何をしようとしていて、その人たちがどう充実、どう成長するのか、その中身がより重要だなと思うようになりました。日本人って会社というと距離があり事業とか働くということと一線を画する存在になっているという感覚があります。ゆえに働く人が社会への貢献感を持ち、仕事に意味づけができるようにしていかなければならないと思います。そうでなければ会社は存在している意味がないです。会社はハコ、ゆえに何をしているかが大事だと思います。自分がどうやって活躍できるかが大事です。

 

違う会社から人材が入ることによって会社は大きく変わり、新しい文化ができていく。新しいサツドラらしさができる、それは凄くいいことだと思いますし、より変化していきたいです。いろんな人が入ってくるということは、多様性が出て来ることによってより変化していけるということ、どんどんアメーバのように変えていくというのが大事です。そこで働き甲斐だったり、会社って言うステージを使って活躍できたりだとかそういうために会社は場としてあるのだと思っています。いま中国出身の方が112人います。今後も多様性を追求していきたいと考えています。

編集後記

東証1部に指定替え、ストアブランドを「サツドラ」に変更、インバウンド消費向け新型店舗を観光地に出店、持株会社の設立と富山社長の社長就任前後の同社は傍から見ていてめまぐるしく変化しているように見えます。インタビューでも明らかなように、顧客と小売りの接点にいる同社はこの接点を起点に新しい顧客を開拓し、新しい商品を開発するなど点を線、そして面に展開していこうとトライアンドエラーを猛烈なスピードで繰り返しています。すべては富山社長のビジョンと事業への思いがこのスピードを生んでいるのだと実感しました。

文:リージョナルスタイル認定コンサルタント 高岡 幸生

お問い合わせはこちら

リージョナルスタイルは、Iターン、Uターン転職に特化した人材紹介・ヘッドハンティングサービスを提供しています。
地域密着型で専任コンサルタントが、貴社が求める人材をお探しし、ご紹介いたします。
完全成功報酬型サービスのため、採用が決定するまで一切費用は発生しません。
まずはお気軽にお問い合わせください。

展開拠点
地域で探す
業種で探す
職種で探す
面談会情報を探す
転職ノウハウコンテンツ
リージョナルスタイルについて